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青学大・黒田朝日の衝撃で思い出す…「走る前から白旗」「あれは“神”」箱根駅伝5区で伝説の“16人抜き”柏原竜二の異次元「神に抜かれた男たち」の追憶
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph byShigeki Yamamoto
posted2026/01/18 06:02
大学4年間、山上りの5区を走り、山中で実に16人ものランナーを抜いた東洋大の柏原竜二。ライバルが見た“神”の背中はどんなものだったのか
自己ベストは19年に福岡国際マラソンでマークした2時間22分23秒。負けず嫌いなのは、高校3年間を同じクラスで過ごし、毎朝自主練として一緒に走っていたサッカー部の同級生から言葉をかけられたことも影響している。
「お前、負けっぱなしで悔しないんか?」
「勝つための方法考えんかい!」
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三輪に厳しい言葉を浴びせていた星稜高校の同級生の名は、本田圭佑という。
大石は母校である中大のコーチとなって、山上りの選手を指導する立場になった。
「上りの適性として、まずは本人が上りに対してやる気、気迫、意欲があるかどうかがいちばん大きいでしょうね。それと自分のリズムで走れること。山上りに関しては、人に合わせるのではなく、自分の走りやすいリズムを持っている選手が向いている気がします」
今回、打倒・駒大を目指す中大の5区を走るのは誰になるのだろう。その前に、大石自身はトヨタ自動車の選手として、ニューイヤー駅伝の準備に入っている。
そして早川は競技生活から引退し、今はトヨタ自動車で人事畑の仕事に就く。
「引退して2年近く経った去年、200チームほどが参加するトヨタ全社の駅伝大会のメンバーに選ばれまして、1区の6.1kmを走りました。引退してから一歩も走らず、準備らしい準備をしないまま走ったら、区間50位台でした(笑)。社内のランのレベルは、思っていた以上にかなり高いです」
神に「抜かれた」男たち…あの経験は何だったのか
学生時代、3人の人生は5区で柏原と交錯した。それは長い人生の中でわずか一瞬の出来事だった。ひょっとしたら、競技者としての人生には影を落としたかもしれない。しかし、10年を超える歳月が経って、その交錯した時間はその後の人生の推進力となっている。
それほどまでに「山の神」、柏原竜二という男はでっかい人間だった。箱根駅伝の歴史で、これだけの傑物はいない。

