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青学大・黒田朝日の衝撃で思い出す…「走る前から白旗」「あれは“神”」箱根駅伝5区で伝説の“16人抜き”柏原竜二の異次元「神に抜かれた男たち」の追憶

posted2026/01/18 06:02

 
青学大・黒田朝日の衝撃で思い出す…「走る前から白旗」「あれは“神”」箱根駅伝5区で伝説の“16人抜き”柏原竜二の異次元「神に抜かれた男たち」の追憶<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

大学4年間、山上りの5区を走り、山中で実に16人ものランナーを抜いた東洋大の柏原竜二。ライバルが見た“神”の背中はどんなものだったのか

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Shigeki Yamamoto

 青学大の9回目となる総合優勝で幕を閉じた102回目の箱根駅伝。“シン・山の神”となった黒田朝日の激走が記憶に新しいが、これまで箱根山中で“神”と対峙したランナーたちは、一体その目に何を見たのだろうか? 本人たちの証言で振り返る「山の神」の肖像とは。《全2回の2回目/最初から読む》(初出:Number 1087・1088号/2023年12月21日発売 肩書などはすべて当時)

 2010年。中央大学3年の大石港与は、2度目の山上りに挑もうとしていた。

 ほぼ同時にスタートすることになったのは、東洋大の柏原竜二だった。

「走る前から『白旗』をあげている状態」

「招集所での柏原君の様子を覚えています。リラックスしていましたね。走ることを楽しもうとしている様子が伝わってきました。僕は“誰も話しかけるなオーラ”を出すタイプなので(笑)、対照的だったかもしれません。柏原君は前年の走りで『山の神』と呼ばれていたので、ほぼ同時スタートになっても、ついていこうとはまったく考えていなかったです。本音をいえば、走る前から『白旗』をあげている状態でした」

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 4区は接戦となり、東洋大と中大が競り合い、中継点では大石、柏原が隣り合ってたすきを待つ格好となった。

「僕がたすきを受けて前を向いたら、柏原君の背中が小さくなっていました。記録を見るとたった2秒しか離れていなかったのに、僕がたすきを受けようと後ろを向いているうちに、アッという間にいなくなっていた――そんな感じですよ。山上りを控えているのに、あれだけの勢いで飛び出していけるのは彼だけでした」

 大石にとっては前年に続き、2度目の5区。しかし、前回とは明らかに5区の雰囲気が変わっていた。

「応援の量が圧倒的に増えていました。みんな、山の神の走りを見たくて5区の応援に集まっていたと思います」

 大石は冷静にペース配分しながら23.4kmを走り切り、区間3位となる1時間21分30秒の好記録で中大の順位を8位から4位まで上げた。しかし、区間新記録を更新した柏原は1時間17分08秒という、とてつもないタイムを出していた。

【次ページ】 「『えっ、なんでいるの?』って笑っちゃいました」

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