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「防御率0.17は自分の実力ではない」50試合連続無失点の阪神無双リリーフ・石井大智が明かした”驚きの自己評価” 本人が気づいていた「自分に足りないもの」
text by

佐井陽介Yosuke Sai
photograph byNanae Suzuki
posted2026/01/20 17:01
2025年のレギュラーシーズンでは防御率0.17の圧倒的成績を残した阪神の石井大智だが、日本シリーズで痛恨の被弾。本人がいま明かす“涙の真相”とは…(第2回)
実は2025年、石井の奪三振数は速球派の割にはそこまで多くなかった。
レギュラーシーズンで53イニングを投げて42奪三振。9回を投げた場合に三振をいくつ取れるかを表した指標「奪三振率」は7.13にとどまった。
一方、中日守護神の松山は奪三振率12.30。巨人守護神のライデル・マルティネスは10.32、セットアッパーの大勢は9.05。阪神ブルペン陣の後輩にあたる及川雅貴も9.58の高数値を誇った。
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同リーグのリリーバーたちとの比較を確認して、想像をはるかに上回る数字の開きに驚かされたのは、おそらく筆者だけではないだろう。
ちなみに石井は2024年、リーグ救援投手の中でトップクラスの奪三振率10.73をたたき出していた。2025年より3.6も高い数字である。
“リスクのある奪三振”とは?
なぜ1年間で一気に奪三振率を下げてしまったのだろうか。
この数字の変遷に、V奪回を義務づけられた人気球団の絶対的リリーバーならではの責任感、そして2025年の葛藤が凝縮されているのかもしれない。
「もちろん、一般的に奪三振はリスクのないアウトとされています。野手のエラーが絡む確率をなくせるし、打球速度などの影響も受けない。でも、その奪三振の中にも『リスクのある奪三振』と『リスクのない奪三振』があると、個人的には思っていて。その中で『リスクのない奪三振』を選び続けた結果、2025年の数字になったのだと思っています。『リスクのある奪三振』をだいぶ避けましたからね」
リスクのある奪三振――。
石井は公にできる範囲内で舞台裏の一端を明かしてくれた。
「結局、奪三振がすごいと言われるゆえんは、ボール球を振らせられるから。裏を返せば、ボール球を振らせられないと奪三振は増えません。でも極端な話、たとえば相手打者に全くスイングする気がない場合、ボール球はそのままボールと判定されてしまいます。そうなると四球を出してしまうリスクも出てくるわけです」
常日頃から研究熱心な努力家は2025年シーズン終了後、球団のアナリストに頭を下げて、奪三振の傾向をデータで洗い出してもらった。セ・リーグ全体の奪三振をサンプルにした結果、以下の数値にたどり着いた。
全奪三振のうち、空振り三振は約77%、見逃し三振は23%。
空振り三振の結果球は約8割がボールゾーン。
77%×0.8の数式で計算すれば、全奪三振の約61.6%がボールゾーンを振らせた空振り三振だったのである。
「振ってもらえなければ全部ボールですからね」
この数字をどうとらえるか。
石井の場合、ボールゾーンを使っての空振り三振には少なからずリスクを感じてしまうのだという。

