プロ野球PRESSBACK NUMBER
「突然ポロポロ涙が出てきて…」阪神のリリーフエース・石井大智がいま明かす日本シリーズ痛恨の被弾“涙腺崩壊のワケ”…じつは「綱渡りの日々」だった
text by

佐井陽介Yosuke Sai
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2026/01/20 17:00
2025年のレギュラーシーズンでは防御率0.17の圧倒的成績を残した阪神の石井大智だが、日本シリーズで痛恨の被弾。本人がいま明かす“涙の真相”とは…(第1回)
期待に応えられずに悔しかった。
それも一番大事な試合で。
不甲斐ない自分に腹が立った。
ADVERTISEMENT
そんな想像の数々に対して、右腕は苦笑いしながら首を横に振り続けた。
「高校まで野球をやっていた方だったら分かってもらえると思いますけど、高校最後の夏の大会が終わった直後のような感じでした。打たれて負けたから泣いたわけでもなければ、悔しくて泣いたわけでもない。高校最後の夏が終わったとき、つらかったこととか乗り越えたこととか、3年間の記憶が一気にフラッシュバックしてくるじゃないですか。それっすね」
石井はNPB初の高等専門学校出身プレーヤーでもある。秋田工業高等専門学校では3年夏、秋田大会の2回戦で敗退。ちなみに当時、涙はこぼしていない。
「高専の時もどちらかと言うと泣くタイプではなかったのに、日本シリーズの時はもう……。今振り返れば、それだけ2025年は本当に必死で駆け抜けたシーズンだった、ということなのでしょうね」
防御率0.17の無双状態
語弊を恐れずに表現すれば、2025年に右腕が残した数字は狂気じみていた。
リリーフ53試合登板で1勝0敗9セーブ36ホールド、防御率はなんと0.17だ。
53イニングを投げて、自責点は1。自責点のある投手としてはNPB史上初となる防御率0.1点台を達成し、コミッショナー特別表彰の特別賞も贈られている。
6月6日のオリックス戦(甲子園)で弾丸ライナーが頭部に直撃し、1カ月近くの戦線離脱を余儀なくされた。にもかかわらず、1軍復帰後はさらにパフォーマンスを向上させて、周囲の度肝を抜いた。
少なくとも数字だけを振り返れば、誰の目から見ても無双状態にあった。
石井大智が明かした「綱渡りのような日々」
ただ、本人に言わせれば、華やかなスポットライトを浴び続ける裏で、人知れず綱渡りのような日々を送っていたのだという。

