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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥に完敗「敗者ピカソ、なぜ攻めてこなかった?」現地カメラマンの視点「“何もできない”と思っていたのかも」試合後に見た“井上尚弥の不満”
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2025/12/31 17:36
アラン・ピカソに判定で勝利した井上尚弥の試合後会見。完勝にも表情は冴えなかった
「現地の方はみんな親切でした」
――あらためてリヤドでの撮影、お疲れさまでした。今回、山口さんは自費で現地に赴き、試合会場から徒歩30分ほどのホテルに滞在されていたと伺いました。試合までの数日間、会見や計量といったオフィシャルのイベントを撮影されながら、リヤドでどのように過ごされていましたか?
山口 プレスツアーで参加している方々とは別行動だったんですが、いつもお世話になっている『ボクシング・ビート』の島篤史編集長と『RONSPO』の本郷陽一さんにお誘いいただき、ツアー参加者が招かれた食事会で夕食をご馳走になりました。サウジアラビアは初めてでしたが、料理はとてもおいしかったです。日本で一度も食べたことがないようなものもけっこうありましたよ。計量の日の夜にもディナーをご馳走になって、あとは基本的にホテルで自炊していました。
――円安の影響が心配でしたが、物価はそれほど高くはなかったとか。
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山口 観光地で食事をするとアメリカのような価格になりますが、ホテルの近くにあったローカルな商店では水が5リットルで4.5リヤル(約180円)、ノンアルコールビールがひと缶5リヤル(約200円)、ネギが2リヤル(約80円)で、その他の野菜も日本と同じくらいの価格帯でした。
――サウジアラビアの印象はいかがでしたか?
山口 数日間滞在しただけの私が言うのもおこがましいですが、お店の店員さんも、会場のスタッフも、Uberのドライバーさんも、現地の方はみんな親切でした。イヤな思いをすることは一度もありませんでしたね。一度、言葉の問題でドライバーさんに行き先がうまく伝わらず、別のホテルに着いてしまったことがあって。あらためてGoogleマップで場所を伝えたら、「OK、OK」って追加料金なしで目的地まで運んでくれたんです。さすがに悪いので相場の金額をチップで払おうとしたら、「いやいや、いらないよ」と。すごく気持ちのいい人が多くて、治安の悪さもまったく感じませんでした。
海外での仕事はいつも日本とは勝手が違いますが、ハプニングもまた楽しいものです。こうやって世界のいろいろな場所で貴重な経験ができるのもボクシングがあって、井上尚弥という存在がいるから。そのことに、あらためて感謝したいと思います。
<前編とあわせてお読みください>

