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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥に完敗「敗者ピカソ、なぜ攻めてこなかった?」現地カメラマンの視点「“何もできない”と思っていたのかも」試合後に見た“井上尚弥の不満”
posted2025/12/31 17:36
アラン・ピカソに判定で勝利した井上尚弥の試合後会見。完勝にも表情は冴えなかった
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
◆◆◆
まさかのプロ初黒星も「相手のモチベ高かった」
――試合当日の話を伺います。まず、堤麗斗選手が4回TKO勝ちを収めました。しかし続く試合で今永虎雅選手が8回にダウンを喫し、プロ初黒星。日本で配信を見ていた身としては、このあたりでいくばくかの不安がよぎったのですが……。
山口裕朗(以下、山口) 虎雅選手に勝ったエリドソン・ガルシア選手は、シンプルにいい選手でしたね。麗斗選手に敗れたレオバルド・キンタナ選手も、パンチは十分にキレていました。いわゆる「倒れに来る」ような選手はひとりもいなかった。日本人選手はもちろんですが、対戦相手のモチベーションもかなり高いと感じました。
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――『ナイト・オブ・ザ・サムライ』のタイトルを冠していても、日本人ボクサーに花をもたせるようなマッチメイクではなかった、と。
山口 そうですね。おそらくファイトマネーもかなりの額でしょうし、リヤドシーズンのような舞台でいい印象を残せば今後のキャリアにもつながる。一般論として、海外のボクサーは日本よりもお金にシビアで、ハングリーな環境で戦っている選手も多い。こういった場でいつも以上のパフォーマンスを発揮するのも、まったく不思議ではないと思います。
中谷の苦戦「異常にタフだった」エルナンデス
――迎えた中谷潤人選手とセバスチャン・エルナンデス選手のセミファイナル。最初の2ラウンドは中谷選手が圧倒していた印象でしたが、3ラウンド以降、エルナンデス選手のプレスが強くなってきます。撮影しながら、山口さんはどんなことを感じていましたか?
山口 望遠での撮影になったので、表情や息遣い、陣営の空気、インターバルでコーナーに戻ったときの印象など、リングサイドで得られる情報がなくて歯がゆいところもありました。どうしても視覚、ビジュアルでしか判断できないので。ただ、そのうえで言うなら、潤人選手に悪いところがあったとは思えないですね。特に序盤はかなりいいパンチを当てていました。

