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井上尚弥の背筋「もはや芸術的」ピカソ戦前“ヒリつく現地練習”にカメラマン密着「仕上がりは万全…正直ホッとしました」中谷潤人も“異変”なかった

posted2025/12/31 17:35

 
井上尚弥の背筋「もはや芸術的」ピカソ戦前“ヒリつく現地練習”にカメラマン密着「仕上がりは万全…正直ホッとしました」中谷潤人も“異変”なかった<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

12月23日、現地リヤドの「マイク・タイソン・ボクシング・クラブ」で最終調整を行う井上尚弥

text by

曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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photograph by

Hiroaki Finito Yamaguchi

井上尚弥、中谷潤人といった日本人トップボクサーが出場したビッグイベント『ナイト・オブ・ザ・サムライ』が、12月27日にサウジアラビアのリヤドで開催された。両者とも勝利を収めたものの、井上自身が「よくなかった」と反省を口にし、中谷も予想外の苦戦を強いられたリヤドで、いったい何が起きていたのか? 現地で撮影を行ったカメラマンの山口裕朗氏に話を聞いた。(全2回の1回目/後編へ)

◆◆◆

井上尚弥の「ヒリつくジムワーク」を密着撮影

――今回のピカソ戦前、山口さんは現地リヤドで井上尚弥選手のジムワークを撮影されていました。タイミングはグランドアライバルが行われた12月23日。どういった経緯で撮影することになったのでしょうか。

山口裕朗(以下、山口) 大橋秀行会長のサポートで来られていた八王子中屋ボクシングジムの中屋一生会長が「山口さんだったら大丈夫だと思うから、撮影できるか聞いてみます」と気を遣ってくださって。大橋会長からも「山口さんならOKですよ」とご許可をいただいて、撮らせていただきました。本当にありがたかったです。

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――5月のラスベガスでは渡航時のトラブルで到着が1日遅れてしまって、井上選手と約束していたジムワークの撮影ができなかったんですよね。

山口 そうなんですよ。私のどうしようもないミス(ESTA申請の支払い漏れ)で……。ただ、そのために買ったレンズも今回、存分に使うことができました。残念ながら試合当日は望遠での撮影になりましたが、こういった機会をいただけてただただ感謝です。

――そのジムワークの写真がスゴかった。ミット打ちひとつとっても、パンチの迫力がひしひしと伝わってきます。肉体も見事に仕上がっていて、隆起した背筋の陰影は芸術的ですらありました。

山口 そう言っていただけて何よりです。撮っている身として、尚弥選手の動きも、体の仕上がりも素晴らしいなと感じました。試合に向けての集中力や緊張感、表情もすごくいいなあと。相手が誰であれ、油断はまったくない。現地での練習場だったマイク・タイソン・ボクシング・クラブの設備も非常に充実していました。

――仰る通り、井上選手のすさまじい集中力や、あの空間の緊張感が写真にみなぎっていました。正直、現地から送っていただいた写真を拝見したときに「今回もまったく問題なさそうだな」と安心してしまったくらいです(笑)。

山口 撮影していて、私も正直ホッとした部分はありましたね。ただ、大橋ジムでもそうなのですが、尚弥選手のジムワークはどんなときも、ゆるい空気感がまったくない。開始前は笑顔もあるんですけど、練習が始まると一気に場の空気が張り詰めるんです。

【次ページ】 「中谷潤人も安定していた」“異変”はなかった試合前

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