「ピカソ選手は驚いたと思う」体格差は歴然なのに…井上尚弥が敗者ピカソに浴びせた“161発のジャブ”、なぜ圧倒できたのか？ 怪物と最も拳を交えた男が解説

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印象に残った「やっぱりジャブがすごい」

――試合の率直な感想はいかがですか。

「採点通り、ほぼフルマークでした。井上選手は危なげなかったし、根本的な地力の差が結構あったと思います」

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――印象に残ったシーンはありますか。

「やっぱりジャブがすごい。いろんな角度から上へ下へとよく打っていたし、ボディジャブから入って、右アッパー、左ボディのコンビネーションは大きな選手にすごく有効でした。背が高くてガードを固めてる選手に対して見栄えもいいですし、中盤、後半でもよくあのコンビネーションを使っていましたね」

ジャブから自分の展開を作り出した井上　©Getty Images

――試合後のリング上で、井上選手は「今夜は良くなかった」と話していましたね。

「毎回ものすごく高いハードルを越えてきた印象があるので……。今回はインタビューで『心と体のバランスが合わなかった』と言っていたので、まさにその通りなんだと思います」

――ただ、大前提として世界戦という舞台でこれだけの大差判定で勝てるというのが凄いことですもんね。

「ピカソ選手だって、世界ランク2位のトップ選手。そういう選手がほぼチャンスを与えてもらえなかった。ピカソ選手は顔が小さくて手足が長く、スタンスがすごく広い。あんな簡単にジャブが当たる選手ではないと思うんですよ。そういう相手に対してポンポンポンポンとジャブを当てたっていうのは、もうさすが井上チャンピオンの素晴らしいところ。当たり前のように彼のジャブが先に入って当たったというのは、パッと見、普通に見えるんですけど、実はとんでもないことです」

ピカソは「驚いたと思います」

前日計量で両者が向かい合うと、ピカソは井上を見下ろした。身長は173センチと井上より8センチ高い。手足が長く、リーチでも井上を上回っており、体格差は歴然としていた。

――ピカソ選手としてはこれだけリーチと体格差があるのに、ジャブで差し負けるっていうことに驚きますよね？

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