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「由伸君、準備始めました」「なんのこと?」トレーナーが明かすドジャース・山本由伸“ワールドシリーズ幻の登板”秘話「献身とか犠牲精神じゃなく…」
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNanae Suzuki
posted2026/01/16 17:00
異例の連投劇で、日本人投手初となるワールドシリーズMVPに輝いたドジャース・山本由伸
「そうすれば8割の投球はできる。相手のバッターはもうヘロヘロやから、君が8割で投げたらいける、その8割を10分で作ろう、と言いました」
こうして“19回山本由伸登板”の準備は急ピッチで整えられていった。
だが18回裏、ブルペンで投げる山本の姿に奮い立ったフレディ・フリーマンの一撃が、19回の登板を幻に終わらせた。山本がスタッフ陣と抱き合って歓喜するそばで、矢田も胸をなで下ろしていた。
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ブルペンに行くことを志願した山本のチームへの献身的な姿勢が讃えられたが、「献身的だとか、犠牲的精神じゃなく、自分に対する責任感なんです」と矢田は言う。
「チームスタッフに『ピッチャーは誰が残ってますか?』と聞いたらしいんです。もう残ってなくて、野手を投げさせることになっていた。山本君にしてみれば、『そらあかんやろ。ピッチャーおらへんのやったら、俺行かなあかんやん』と。それだけなんですよね。自分の責任と捉えていた。それに彼は、あかんかったらどうしようとか、なんて言われるやろう? と考えず、純粋に『こうしたいからやろう』と迷いなくできる。それはこれまでの彼の練習への取り組み、生き方、ご両親や家族の教育。そういうところから来ているんです」
初対面の印象は「素朴でヤンチャなにいちゃん」
山本が、身体の専門家であるキネティックフォーラムの矢田を初めて訪れたのは、オリックスにドラフト4位で指名され、大阪での生活を始めたばかりの頃だった。
「素朴でヤンチャなにいちゃん。僕が高校生やったら、こいつと遊んだらおもろいやろな、という感じでしたね」
目指しているものを尋ねると、山本は「150kmのフォーク投げたいです」と目を輝かせた。体を触って現状を把握していた矢田が、「そのためにはフルモデルチェンジが必要やで」と伝えると、「じゃあやります」と即答。「この子、軽く言ってるけど大丈夫かな」と面食らったが、やがて山本の真面目さ、一途さに驚かされることになる。
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