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「一番の強敵の後ろで…」ミュージアムマイル有馬記念制覇のウラにC・デムーロの“巧みな戦略”「年度代表馬の行方は?」大本命はやはり“あの馬”か
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島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKeiji Ishikawa
posted2025/12/29 18:17
ミュージアムマイルを有馬記念優勝に導き、馬上で感極まるC・デムーロ。シャフリヤールでハナ差の2着に敗れた昨年の雪辱を果たした
「栗東にいたときから調子がよく、そのままの状態で来ている感じでした。去年の今頃からずっと成長しており、まだ伸びしろがあります」
古馬の牡馬より2kg軽い56kgの斤量を生かし、ゴール前では切れに切れた。
それを引き出したデムーロの好騎乗も大きな勝因のひとつだ。
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距離が不安視されていたが、「コーナーが6つあるから実際の距離より短く感じる」とサラリと言い、前のダノンデサイルを壁にしながら宥めて脚を溜めさせた。
そして、ダノンデサイルの外に隙間なくつけて4コーナーを回ったことにより、レガレイラを内に閉じ込める形にした。
ライバルの力を封じながら、自分の馬のよさを引き出し、勝利に導いたのだ。
この馬で臨んだGIは、昨年の朝日杯フューチュリティステークスと、前走の天皇賞・秋でともに2着だったが、もはや完全に手の内に入れた感がある。
12番人気で激走…横山武史がイメージした“ある名馬”
2着のコスモキュランダは、昨年、弥生賞を勝って皐月賞とセントライト記念でともに2着になるなど、もともと中山が得意だった。騎乗した横山武史が「(1992年に勝った)メジロパーマーのように、前でやり合って後ろに脚を使わせる競馬を思い描いていた」と話していたように、他馬を消耗させながら、自分は気分よく走っていた。
ダノンデサイルは、1周目のスタンド前で、前走のジャパンカップほどではないが、若干行きたがっているように見えた。それでも最後は伸びていた。が、右にモタれていたので、戸崎圭太が追いながらずっと左の手綱を外に引き、右鞭を入れていた。そのぶん、突き抜けることができなかったという印象だった。
レガレイラは、道中はミュージアムマイルの後ろにつけ、ゴール前でさすがと思わせる伸びを見せたが、及ばなかった。手綱をとったクリストフ・ルメールが「スローペースで、ちょっと掛かった。直線ではちょっと緩い馬場で、エンジンがかかるのに時間がかかりました」と話したように、去年ほど上手く歯車が噛み合わなかった。


