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「丸刈りに戻しました。批判されるかもですが」甲子園優勝→母校監督になった36歳が“上下関係は必要派”なワケ「ただ寮生活はユルいです」
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間淳Jun Aida
photograph byJun Aida
posted2026/01/01 11:02
高校野球部の寮生活が思わぬ形で注目された2025年だが……甲子園経験校はどんな生活をしているのか
指導者が強要するのではなく、選手やチームに「もっと上手くなりたい」、「一体感を強くしたい」といった気持ちが浸透する環境づくりを心掛ける。そして、その欲を最大限に生み出すために、「ルールと自由のバランス」が重要になる。
石岡監督は就任後、いくつかの改革を進めた。例えば、自由だった選手の髪型を丸刈りに統一した。高校野球界では“脱・丸刈り”の傾向が高くなる中、時代と逆行した方針の意図を説明する。
「今の時代は批判されるかもしれませんが、丸刈りに戻しました。理由の1つは、散髪にはお金がかかるためです。学生は保護者の方々に金銭面でサポートしてもらいながら野球をしています。野球ができるのは保護者のおかげだと感謝し、高校野球生活の2年半くらいは丸刈りで我慢することも大切だと考えています」
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野球部員は用具代、遠征費、寮費など、何かと費用がかさむ。美容院や整髪料の金額も積み重なれば、それなりの金額となる。ただ、石岡監督は「髪型が自由なところに惹かれて入部した選手もいたかもしれません。監督が私に代わってから方針転換したので、その時の選手たちには申し訳ないことをしたと思っています」と謝罪する。
自分が余計なことをして得点機をつぶした
サインを復活させたのも、大きな転換だった。石岡監督が就任前、チームは「ノーサイン野球」を掲げていた。ベンチから戦術のサインを出さず、選手たちが自ら決断するスタイル。石岡監督はノーサインを1つのやり方として否定するわけではなく、指揮官がサインを出す方が理想の組織に近づけると考える。
「ベースとなるルールや方向性をチームで共有した方が、選手の思考力や判断力が磨かれると思っています。何もないところから考えたり、判断したりするのは難易度が高いですから。それから、サインをつくった一番の理由は、勝敗の責任は監督にあると示すためです」
現役時代は捕手だったからなのか、持って生まれた性格なのか、石岡監督の試合後のコメントには常に責任感がにじむ。今春のセンバツで延長12回の末、聖光学院に敗れた際には、こう話している。
「先頭打者が出塁した9回の攻撃で、自分が余計なことをして得点機をつぶしてしまいました。選手に申し訳ない気持ちしかありません。選手たちに甲子園へ連れてきてもらったのに、自分は甲子園で勝てる監督ではなかった。選手以上に自分が成長しないといけません」
勝てば選手の力、負ければ指揮官の力不足。責任を一身に背負う石岡監督は「サインプレーが決まらなかったら、監督がチームマネージメントの面で詰め切れていなかったからです。見た目では選手が失敗していますが、成功に導けなかった監督の責任だと思っています」と語る。
選手を特別扱いせず、平等に評価するために
選手との関わり方もベースを決めた上で、ルールで縛り付けない距離感を保つ。

