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「ルールを破っても罰則なし」「時に二郎系ラーメン」“入寮希望”が多い甲子園V経験校のリアルな寮生活「本音を言えば地元に…」監督らが語る
posted2026/01/01 11:03
高校野球部の寮生活が思わぬ形で注目された2025年だが……甲子園経験校はどんな生活をしているのか
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間淳Jun Aida
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Jun Aida
寝る時はスマホ回収も…食卓に二郎系ラーメンが
「高校野球の上下関係は、もっと厳しいとイメージしていました。実際はオンとオフで違いがありますが、学年の壁は全くありません。今の3年生もそうですが、3学年上の先輩までつながりがあって、仲良くしていただいています」
このように語るのは、静岡の常葉大菊川の渡辺豪主将だ。
強豪校の寮生活は、常識を超えた決まりが長年引き継がれているケースもあり、2025年には広陵高校で起きた問題が大きく報じられた。しかし、常葉大菊川の寮では起床、食事、消灯の時間が決まっており、寝る時はスマートフォンを回収する程度。その他は寮生に任されている。
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洗濯や掃除も、下級生だけの仕事ではない。部屋は1~3年生混合で4~6人が生活し、部屋のメンバーで分担を決める。1年生が全ての洗濯をするというような、下級生に仕事が集中することはないという。「風呂は先輩から順に入る」、「カップラーメンやお菓子は禁止」といった規則もない。
石岡諒哉監督は、こう語る。
「寮生活は自由度が高いので、居心地は良いと思います。最低限の決まりだけ定めて、あとは選手たち自身で考えて生活しています。スマホを回収するのは質の良い睡眠を取ってもらうためです。ただ、消灯後に起きているかどうかはチェックしません。指導者が強制するのは、本質からずれていますから」
寮の食事は他校からもおいしいと評判で、選手のリクエストにも応えてくれるという。二郎系ラーメンやフルーツサンドが食卓に並んだり、選手みんなで鍋物を囲んだりすることもある。渡辺主将は「自分は大阪出身ですが、入学前から寮の食事がおいしいと聞いていました。食べたいものをつくってもらえますし、味も評判以上でした」と熱弁する。常葉大菊川では入寮を希望する選手は多く、県内出身者も大半が寮生活を送っている。
寮のルールを破っても罰則はありません
寮生活で最低限のルールしか設けないのは、自覚と考える習慣を養う目的がある。
石岡諒哉監督は言う。
「1から10まで細かくルールを定めて指示した方が楽なのかもしれませんが、本質とは違う方向に進んでしまい、それでは指導者の自己満足で終わってしまいます。選手は野球が上手くなりたいから練習する、レギュラーを獲りたいからトレーニングする、体を大きくしたいから食事や睡眠を大事にすると考えて行動してほしいと思っています」

