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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「井上尚弥と中谷潤人どっちが強い?…それは言いたくない」井上尚弥に負けたカルデナスが衝撃KOで再起「ジュントは最高のスパー相手だったよ」
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byMark Robinson/Getty Images
posted2025/12/24 11:03
サウジアラビアでメディア対応、ビジュアル撮影をこなした井上尚弥(右)と中谷潤人
こうして井上、中谷という2大スターとリンクされたのだから、カルデナスは今後も日本のファンから注目され続けていくのだろう。特に12月27日の興行が無事に終われば、軽量級は来春に予定される井上対中谷戦に向けて本格的に動き始める。
いったいどちらが強いのか。長く日本のリーディングボクサーとして業界を引っ張ってきた“モンスター”を、“ビッグバン”は凌駕できるのか。この垂涎のカードは日本国内のみならず、海外でも話題沸騰は確実。2人の強さを肌で知っている数少ない一人として、カルデナスがコメントを求められる機会も増えるに違いない。
カルデナスが口を閉ざす理由
実際にエリック・ロブレス戦のあと、アメリカ、英国のメディアから井上と中谷の比較について繰り返し質問を受けていた。しかしーー日本史上に残る2大王者について何度聞かれても、対戦予想を求められても、カルデナスの答えは一貫していた。
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「それは言えないし、言いたくない。ナカタニとはスパーリングしかしていないし、スパーと試合はまったく別物だ。だからいわゆる“言ってはいけないこと”だと思う。ただ一つ言えるのは、イノウエとナカタニの試合はボクシング界にとっても、日本ボクシングにとっても素晴らしいカードだということだ」
それぞれがテーマを持って臨むスパーリングはあくまで練習の場であり、それだけで戦力評価をすべきではない。自身について話すのはいいが、そこで相手から得たものを公にシェアすべきでもない。そんなボクサー間の暗黙のコードを理解しているからこそ、カルデナスは日本選手たちに好まれ、ファンからも愛されるのであろう。
これから5月までの間、カルデナスは世界中のメディアから井上、中谷について問われ続け、そのたびに同じ答えを返すに違いない。そして、自分自身のキャリアを邁進していく。そういった姿勢が変わらない限り、この真摯なカウンターパンチャーは今後も多くのファンから支持され続けるはずである。〈全2回/前編からつづく〉


