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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「井上尚弥と中谷潤人どっちが強い?…それは言いたくない」井上尚弥に負けたカルデナスが衝撃KOで再起「ジュントは最高のスパー相手だったよ」
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byMark Robinson/Getty Images
posted2025/12/24 11:03
サウジアラビアでメディア対応、ビジュアル撮影をこなした井上尚弥(右)と中谷潤人
「ルディは私の友人で、すべてがうまく噛み合ったんだ。ジュントはLAにいて、試合を控えていた。彼には右利きのスパー相手が必要だったし、こちらにはサウスポーが必要だった。だから、今回は私たちが彼のジムに行った。これ以上の組み合わせがあるか? 世界でも屈指のファイター同士だ。いつか対戦するかもしれないし、しないかもしれない。でも“今”はこれでよかった。最高のスパー相手だったし、お互いを高め合った。鉄は鉄で研がれる。完璧なシナリオだよ」
中谷のスーパーバンタム級での初戦の相手に、カルデナスが抜擢されるのではないかという推測が飛び交った時期もあった。ただ、27日の興行を主催するサウジアラビアの娯楽庁長官、トゥルキ・アルシェイク閣下には違う考えがあったよう。この時点で戦わないのであれば、ロブレス トレーナーの言葉通り、互いにとってこれほど格好の練習相手はいなかった。
「40%くらいでやれ」
井上戦も視界に入れた中谷、井上戦からの再起を目論むカルデナスのスパーは約1カ月半、合計99ラウンドに及んだ。今回の復帰戦前、カルデナスは「99ラウンドのすべてが異なるラウンドだった」と話していた。その真意を問うと、「ノンストップでアジャストメントの連続だったという意味だよ」と説明してくれた。
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「トレーナーに聞いてもらってもいいが、ナカタニとのスパーには本当に同じラウンドは一つもなかった。毎回、違うことに取り組んでいた。面白いのは、ルディ(・エルナンデス)がナカタニに“40%くらいでやれ”ってよく言っていたことだ。強く打ち合わないスパーだ。実際、私も強くはやっていなかった。それなのに試合では本当に調子が良かった。身体の感覚がすごく良かったんだ」
エリック・ロブレス戦のカルデナスは、実際に心身のコンディションが最高級に見えた。井上からダウンを奪った自信に加え、中谷との適切なトレーニングの効果がその要因になったことは容易に想像できる。サウスポーの相手に完璧なタイミングでKOパンチを決めた試合後、通称“ビッグバン”とのスパーリングを嬉しそうに振り返るカルデナスの笑顔が印象的だった。


