広岡達朗93歳が語った「老いること、死ぬこと…」書籍『正しすぎた人』作者はなぜ広岡に魅了されたのか？ 胸に響く「人間はいくつになっても勉強だよ」 

「93歳の広岡」への取材を通じて、気がつけば私は過去と現在、昭和と令和を行ったり来たりしているような感覚、時空を超えた旅をしている錯覚を覚えていた。今にして思えば、一度のインタビューで「2人の広岡達朗」にインタビューするという、実にぜいたくで貴重な体験をしていたのだと気がついた。

　本書には、2人の広岡達朗が描かれている。すなわち、「1978年、46歳」と「2025年、93歳」の広岡である。人は誰でも老いていく。それに伴って、大切な何かを失うと同時に、新たな何かを得ていく。広岡とのやり取りを通じ、その姿を見ながら、その言葉を聞きながら、私はそんなことを学んだように思う。インタビューを終えると、広岡はいつも決まって同じことを口にする。

「わからないことがあれば、いつでも電話してきなさい。人間はいくつになっても勉強だよ。一生かけて勉強しなさい」

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　一生かけて勉強を続けている広岡の言葉を聞くたびに背筋が伸びる思いがする。そして、その言葉はどんなときも心地よく耳に飛び込んでくるのである。

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