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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
大谷翔平、山本由伸がWBC参戦へ…ドジャースを動かした「侍ジャパン」交渉の舞台裏 「朗希は不参加」の陰にある超極秘の「慢性疾患リスト」とは
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byKYODO
posted2025/12/23 17:01
前回大会では共に侍ジャパンの先発マウンドを任された
それは、所属する3選手の参加に「NO」を突きつけられること。大谷の“二刀流”での参戦には難色を示すかもしれない。ワールドシリーズで伝説的な投球をするなど、消耗の激しい山本、右肩の負傷で約4カ月間、負傷者リスト(IL)に入った佐々木については、出場を拒否する返答も覚悟していた。
ドジャース編成本部長の意外な反応
井端監督が面会した相手はワールドシリーズを連覇したドジャースの編成本部長、アンドリュー・フリードマン氏だった。
「大谷は投手NG、山本も佐々木も出場はさせたくない」
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そう言われることも想定して身構えた。しかし、フリードマン氏は意外な反応を見せた。強硬姿勢を取らず、むしろ3選手が出場した場合、どんな起用法になるのか、合宿や強化試合を含む招集時期はいつになるのかという具体的なことを聞いてきたのだ。
侍ジャパン側は当初、大谷の二刀流に加えてドジャース勢が全員参加することは難しいかもしれないと思っていたが、ここで一転、全てOKになる可能性もあるのでは、という感触を得た。
結果的には、今シーズン右肩を痛めた佐々木は、約4カ月の離脱期間があったことで、不参加が確実となった。投球フォームを安定させ、レギュラーシーズンで先発ローテーション争いに加われるように準備するためだ。しかし、侍ジャパンのエースとして活躍が期待される山本の参戦、大谷の投手起用にNGを告げられなかったことは、ウインターミーティングでの大きな収穫だった。
「個人的には、投げてほしくない…」
そもそも、なぜ井端監督らはドジャースからの「NO」という最悪の事態を想定していたのか――。
遡ること1カ月、11月にドジャースのロバーツ監督がイベントのために来日した。さまざまな取材やインタビューで、あくまで私見としながらも、大谷の投手起用反対、山本と佐々木の出場にも慎重な姿勢を示した。指揮官の意向は、ウインターミーティングでの監督会見でもはっきりしていた。
「(大谷には)個人的には、投げてほしくないという思いもありますが、最終的にどうするかは翔平の判断になります。彼は自分の身体の状態をよく理解していますし、おそらくは打者に専念する可能性が強いとは思います。ただ、まだ直接話せてはいません」
ウインターミーティングの時点で、大谷、山本、佐々木の3選手はドジャースと具体的な話し合いは行なっていなかった。ウインターミーティング開始時、全米野球記者協会に所属する某記者がSNSで「佐々木はWBCに出場できる」という情報を発信した。これに対して米球界関係者は「この情報は誤りだ」と即座に否定し「チームと日本の選手たちはまだ、出場について話していない。個々の選手の出場希望はあるかもしれないが、球団と選手が合意できるような事柄は、(12月9日の時点では)まだ何もない」と説明していた。


