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大谷翔平、山本由伸がWBC参戦へ…ドジャースを動かした「侍ジャパン」交渉の舞台裏 「朗希は不参加」の陰にある超極秘の「慢性疾患リスト」とは 

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山田結軌

山田結軌Yuki Yamada

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posted2025/12/23 17:01

大谷翔平、山本由伸がWBC参戦へ…ドジャースを動かした「侍ジャパン」交渉の舞台裏 「朗希は不参加」の陰にある超極秘の「慢性疾患リスト」とは<Number Web> photograph by KYODO

前回大会では共に侍ジャパンの先発マウンドを任された

拒否権を発動できる“極秘リスト”の存在

 ここで選手が大会に参加するための前提について振り返っておきたい。まず、球団側は契約で選手に対してWBC出場を禁じることはできない。WBCはWBCI(World Baseball Classic Inc.)」というMLB機構と選手会が合同で作った会社が運営する。ドジャースを含む各チームはMLB機構の一部だ。MLBを構成する1チームが、MLBが主催する世界大会の盛り上がりに水を差すようなことは、本来あるべきではないからだ。

 一方で、選手のケガのリスクなどから、チームが出場に難色を示すことも理解できる。そのため、出場するためには希望する選手とチームが、直接話し合って結論を出さなければいけない。

 その中で、チームが選手の出場に拒否権を発動できるケースがある。そこでカギになるのが、「chronic condition list(慢性疾患リスト)」という“極秘リスト”の存在だ。WBCIと保険会社が過去の負傷歴や手術歴など客観的な医療情報をもとに作成する「慢性的なケガのリスクを抱える選手」のリストだ。

朗希「不参加」の裏には…

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 このリストに載っているからと言って、不参加や欠場を強要することは原則的にできないのだが、今後の選手生命や契約について考えれば球団は選手に出場反対を訴えやすくなる。

 大谷は右肘の手術を2度受けた。山本はメジャー1年目の昨季、右上腕を負傷し約3カ月間離脱した。佐々木は今季、右肩を痛めた。3人が「慢性疾患リスト」に入っているか公表されることはないが、球団と代理人らはそれを確認することができる。不参加が確実となった佐々木は、このリストに入っていた可能性も考えられる。

 シーズン前の国際大会には、負傷のリスクも伴う。ケガの危険性を抱える選手の出場辞退は決して責められるものではない。一方、大谷と山本はそのリスクを背負った上で、出場を決めた。では、WBC連覇を狙う侍ジャパンの中で、大谷の起用法はどうなるのか……。〈つづく〉

#2に続く
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