「当時は生きるか死ぬか」竹下佳江に大バッシングも…伝説リベロ津雲博子（55歳）が明かす“女子バレー歴史的敗退”「息子のドラフト報道で何度も当時の映像が…」 

「この代表がスタートした時からいた私たちが、もっと頑張らなきゃいけなかったし、もっとチームを完成させなければいけなかった。テン（竹下）ちゃんは、NECが全勝優勝して、セッターとして評価されたから急遽、オリンピックのためにと抜擢されたんです。彼女がどれだけ素晴らしいセッターでも、たった数カ月でチームをつくれるわけがない。責任を背負うのも、批判を向けられるのも私たちなんです」

　自身のパフォーマンスに目を向けても明らかに違った。津雲は続ける。

「2年前の世界選手権と比べたら、最終予選の時は反応も遅くなっていた。日本国内でプレーしている時はそれでもできたけど、世界を相手にするとほんの一瞬の遅れがミスになるし、失点になる。ピークを過ぎていたことは、自分が一番よくわかっていました」

真剣に“引退”を考えた

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　最終予選を終えた後もバッシングは続いた。周りの目が怖かったと回顧する。

「日中の明るい時間に外へ出て、誰かに顔を見られたら何か言われるんじゃないかって。だからちょっと買い物へ行くのも、全部夜になってから。直接ひどい言葉をぶつけられたことはありません。でも、あれだけバッシングされているんだから、みんな同じように思っているんだって。勝手にそう思い込んでいました」

五輪出場の望みが消え、落胆するバレーボール女子日本代表。韓国戦を前に、小島孝治強化本部長（当時）を中心にミーティングが行われていた　©︎KYODO

　目標だった五輪出場という夢は潰えたが、新しいシーズンはやってくる。頭では理解しても、津雲の心はついていかなかった。短い休暇に広島に帰省した時は「もうバレーを辞めようと思う」と両親にも伝えた。所属先のNECレッドロケッツの練習にも復帰せず、そのまま現役を引退するつもりでいた。だが、ただ一つ、懸念材料はあった。日本代表監督を務めた葛和伸元のことだ。

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