「当時は生きるか死ぬか」竹下佳江に大バッシングも…伝説リベロ津雲博子（55歳）が明かす“女子バレー歴史的敗退”「息子のドラフト報道で何度も当時の映像が…」 

　現役生活15年。今でこそ笑えるが、津雲の口からは厳しかった時代のエピソードが次々と飛び出す。

　ゲーム形式の実戦練習は“Aチームが勝つまで終わらない”。相手には男性コーチも加わるため、スタメン組とはいえども簡単にセットを取ることはできなかった。練習は深夜0時を越えても終わらず、それどころか「朝6時からゲームを再開するからここで仮眠を取れ」と言われ、シャワーも浴びずにテーピングを巻いたまま体育館で眠りにつくこともあった。

　公式戦で敗れた日は寮に戻らずそのまま体育館に向かうことも少なくなかった。疲れがたまっている、もう夜中だからという概念は存在しない。

ADVERTISEMENT

「真っすぐ行けば寮。左に曲がれば体育館。バスの中で、その手前の道の信号に止まるたび、みんなで『真っすぐ（寮に）行け』と祈るんです。でもだいたい曲がるから『あー練習か』って（笑）。大げさじゃなく、当時は生きるか死ぬかみたいな気持ちで練習や試合をしていました」

　引退後から現在までNECの社業に専念している津雲だが、現在はレッドロケッツOG会長を務めている。本拠地とどろきアリーナで行われたSVリーグ開幕戦にも足を運ぶなど、今もバレーボールに関心を向けている。もちろん、今秋の世界選手権も中継でチェックした。「私たちの頃とはずいぶん変わった」と笑いながらも、時代の変化を前向きにとらえる。

「（選手たちは）明るいし、楽しそうですよね。髪色やアクセサリーは人によってとらえ方は違うかもしれないですけど、のびのびやって結果が出ているならそれでいい。そういう時代になりましたよね」

ドラフト番組で使われた母の紹介映像

　過酷だった日々を笑い飛ばせる今。五輪予選の苦い記憶からも目を背けることはなくなったという。

「息子がドラフト候補になって、私の紹介映像を流してもらっていたんですけど、ほとんどがシドニー五輪の最終予選なんですよね。私の前にボールが落ちて、フライングするけど届かなかった最後のシーンばかり。あーまたこれか、って（笑）」

　津雲の前にボールが落ちた瞬間、敗戦が決まり、シドニー五輪出場の夢が絶たれた。相手スパイクに果敢に飛び込むも、あと一歩届かなかった。

「改めて映像を見ると、息子の終わり方に似てるんですよね。膝からカックン、とスライディングして届かない。そんなところも似ちゃったのかな（笑）」

　仙台育英のエースとして甲子園を沸かせた夏。のちに優勝する沖縄尚学との激闘の末、最後の打者として一塁に倒れ込んだのが次男・吉川陽大だった。〈第3回に続く〉

#3に続く

「お母さん…俺、仙台育英にするわ」“ノーコンだった少年”が甲子園で大活躍＆ドラフト候補に成長するまで「元バレー代表“伝説リベロ”の母」が明かす成長物語

#3

「お母さん…俺、仙台育英にするわ」“ノーコンだった少年”が甲子園で大活躍＆ドラフト候補に成長するまで「元バレー代表“伝説リベロ”の母」が明かす成長物語

#2

「当時は生きるか死ぬか」竹下佳江に大バッシングも…伝説リベロ津雲博子（55歳）が明かす“女子バレー歴史的敗退”「息子のドラフト報道で何度も当時の映像が…」

#1

息子は仙台育英エース、ドラフト会議も現地で…元祖“世界一のリベロ”津雲博子（55歳）の今「野球にどハマり」「仙台にアパートまで借りちゃった」