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事前予想は「那須川天心の判定勝利」だったが…元世界王者・飯田覚士が驚いた井上拓真の対応力「こう来たかと思って…背中がゾクゾクってしました」 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2025/11/29 11:02

事前予想は「那須川天心の判定勝利」だったが…元世界王者・飯田覚士が驚いた井上拓真の対応力「こう来たかと思って…背中がゾクゾクってしました」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

WBC世界バンタム級王座をかけた井上拓真と那須川天心の大注目の一戦。元世界王者の飯田覚士氏はこの試合の勝負の分かれ目をどう見たのか

 井上もビートを上げていく。4ラウンドは前に出て、警戒の集中を切らすことなくパンチを繰り出していく。硬さもすっかり取れ、パンチはクリーンヒットしなくともノリノリだ。逆に序盤あれだけノリノリだった那須川は知らず知らずのうちにリズムが乱され、小気味よいパンチが減っていく。ボディーショットは当たっても、次につなげられない。

4R終了後の公開採点で流れは拓真に

 4ラウンド終了時の公開採点は3者ともに38―38のイーブン。1、2ラウンドの遅れを、すぐに取り戻したとなれば流れは井上のほうに傾いていた。

「拓真選手は3ラウンドで自分のリズムをつくり出して、次の4ラウンドになると明らかにペースをつかんでいました。無理に攻め込むわけではなくて、あくまでも慎重に、集中力高く、ということを絶対に崩さない。拓真選手のボクシングは、パンチをもらわないという大前提で組み立てています。微妙に攻めない、微妙に誘う、微妙に待つ。このちょっとした“変化”がかなりの効果を発していました」

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 微妙こそが絶妙。

 同じ16ビートでも那須川のテンポを狂わせるように「変調」を織り交ぜてくる。天心協奏曲で始まった一戦は、拓真協奏曲に姿を変えていく――。

<続く>

#2に続く
「天心選手は混乱したはず…」元世界王者・飯田覚士が見た井上拓真vs那須川天心“勝負の分かれ目”「突き飛ばされても拓真選手は表情を変えなかった」

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