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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「潤人、いま彼女はいるの?」中谷潤人17歳の“まるで大谷翔平”な答え…井上尚弥戦を同門・伊藤雅雪が展望「その前にルイス・ネリと戦うのも面白い」
posted2025/03/07 17:03

10代の頃からボクシング一筋の中谷潤人。同門の元世界王者・伊藤雅雪氏は「大谷翔平のようなメンタリティ」と形容した
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Naoki Kitagawa
「いま彼女はいるの?」中谷潤人17歳の答えは…
元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪が、中谷潤人に初めて会ったのはいまからちょうど10年前。WBC世界バンタム級王者が、まだプロデビューを迎える前の話である。日本の中学校を卒業し、単身で渡米していた17歳は、現在と変わらず純朴だったという。ルディ・エルナンデストレーナーの門下生同士、練習が休みの日にロサンゼルスのビーチへ出かけたときのことだ。何気ない会話のやり取りをよく覚えている。
「潤人、いま彼女はいるの?」
「いないです」
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「彼女は欲しくないの?」
「いらないです」
無理をして禁欲していたわけではなかった。ストイックな雰囲気はなく、純粋に好きなことに夢中になっている印象を受けた。
「普通、高校年代の男子といえば、遊びたい盛りですよね。休みになると、仲間と街に出かけることもあれば、彼女とデートすることもあると思いますが、潤人はあの頃からボクシングだけに打ち込んでいました。むしろ、それが楽しいという感じで。努力を努力と思っていないんですよ」
2015年4月にプロキャリアをスタートしてからも、競技に向き合う姿勢は変わらなかった。たとえ試合が終わっても、数日後には胸を躍らせるようにジムワークに励んでいた。伊藤が知るかぎり、羽を大きく伸ばしているような話を耳にしたことがない。
「ボクシングが何よりも一番なんでしょうね。そのために生きているような男。大谷翔平みたいな感じですよ。井上尚弥はジムから出れば普通の青年になりますが、潤人はそうではない。ほかの遊びを知らないんじゃないのかな、と思うくらい。あそこまで、心がブレない選手は見たことがない。メンタリティを考えれば、僕のなかでは井上尚弥よりも中谷潤人のほうが、ボクシング界の大谷だと思います」