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ドジャース佐々木朗希は「今のままでは来季10勝しても10敗する」高校から知る動作解析研究者の指摘と期待「大谷翔平になくて佐々木にあるもの」とは
text by

赤坂英一Eiichi Akasaka
photograph byNanae Suzuki
posted2025/11/27 11:01
来季は先発復帰が見込まれる佐々木朗希。ローテーションを守り、さらにその先の成長まで、佐々木を高校時代から知る動作解析の第一人者が語った
アメリカは日本と違い、肘を痛めたら比較的早く手術を受けさせるという育成方針が浸透している。それだけ選手を育てる土壌が違うとは言え、驚かされますよ。こういう時代に、佐々木くんは24歳まで一度も手術をせずにここまできている。本当にすごいことです。
改めて振り返ると、2019年夏、岩手大会の決勝で國保監督が佐々木くんを投げさせなかったことが、今になって大きくプラスに働いていると思います。当時は批判されましたけどね。
今回も、離脱から4カ月でメジャーに戻ってこられたのは、佐々木くんがもともと“無傷”の健康体だったことが大きい。5月までに8試合しか投げていなくて、あまり疲れていなかったことも、回復が早かった要因でしょう」
世界一の投手2人からの学び
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投手の先輩として最高のお手本となる大谷翔平、山本由伸の存在も、佐々木のメンタルに大きな影響を与えたようだ。
「それは大きいですよ。世界一の投手が常にそばに2人もいるわけだから。何か教わるという以前に、彼らのルーティン、準備、ピッチングを見ているだけでも大変勉強になったでしょう。
とくに山本投手の粘り強さ、ゲームをまとめる力はすごいものがありますね。それはやはり、日本で揉まれて、(MVP・最多勝3回、最優秀防御率4回など)大変な実績を残したからだと思います。
それに引き換え、佐々木くんはまだ日本でもメジャーでも1年間を通して投げたことがない。山本投手から今までに学んだこと、今から学ぶべきことはたくさんあるはずです」
先発復帰で活躍するために必要なもの
ドジャースのロバーツ監督は折に触れて、そんな佐々木を「来季は週1度の先発で使う」と明言。ただし、「それにはフォーシーム(真っ直ぐ)、スプリットに加えて、もうひとつ球種を増やすことが必要だ」と指摘している。新球を習得しなければ、ドジャースで先発ローテの柱の地位を確保するのは難しい。川村教授もこう言う。
「現状では、160km台の真っ直ぐがいっている試合はいいんですが、いかない試合では簡単に弾き返されてしまう。今季もそういう場面が何度か見られましたよね。このままでは、たとえ1年間ローテーションを守ったとしても、10勝しても10敗する。もしくは負けのほうが少し先行してしまう可能性があります。
先発としては、真っ直ぐがよくない試合でもゲームを作り、しっかり勝てるような投球をしなきゃいけない。例えば、3点リードをもらったら、失点を2点以内にまとめられる力をつけないと」

