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ドジャース佐々木朗希は「今のままでは来季10勝しても10敗する」高校から知る動作解析研究者の指摘と期待「大谷翔平になくて佐々木にあるもの」とは 

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赤坂英一

赤坂英一Eiichi Akasaka

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photograph byNanae Suzuki

posted2025/11/27 11:01

ドジャース佐々木朗希は「今のままでは来季10勝しても10敗する」高校から知る動作解析研究者の指摘と期待「大谷翔平になくて佐々木にあるもの」とは<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

来季は先発復帰が見込まれる佐々木朗希。ローテーションを守り、さらにその先の成長まで、佐々木を高校時代から知る動作解析の第一人者が語った

 佐々木は9月からメジャーに復帰すると、リリーフに配転されてレギュラーシーズンの2試合に中継ぎ登板し、2回1安打4三振無失点で2ホールド。さらにポストシーズンでは9試合に投げ、10回3分の2で6安打1失点、抑えで3セーブ、中継ぎで2ホールド、防御率0.84と見違えるような好成績をマークした。

メンタルも成長したのではないか

 マイナーで自分を見つめ直す過程において、佐々木はメンタル面も大きく成長したのではないか、と川村教授は指摘する。

「メジャーのドジャースは自分が決断して行ったので、ここで結果を出さなければならない。そういう強い気持ちもかなりあったんでしょう。大船渡高校からロッテ時代までは、周りからの期待もあって、野球をやる環境を自分で作るのではなく、与えられていたけれど、今のチームは自分が選択したところですからね。

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 大船渡の元監督、國保(陽平、現盛岡白百合学園高校)が筑波大で私の教え子だった関係で、私も佐々木くんとはよく話をしましたが、彼は最初はシャイで、なかなか自分から積極的にしゃべるようなタイプではありませんでした。

 それが、打ち解けてくると、自分から私にいろいろな質問をぶつけてきたり、意見を求めたりするようになった。そういう性格的な部分も、今メジャーでどんどん変わってきているように思います」

佐々木にあって大谷にない利点

 成長過程にある佐々木はまだまだこれから、大きな進化を遂げると期待できる。そこには、過保護と批判された日本での育成方法も大きく寄与していると、川村教授は強調する。

「佐々木くんが持っていて、大谷(翔平)くんが持っていない利点をひとつ挙げると、彼はまだトミー・ジョン手術(肘の腱移植手術)を受けていません。大谷くんはすでに2度手術をしていますが、佐々木くんは肘にメスを入れたことすら一度もないんです。これだけヘルシーな状態でここまできているというのは、非常に大きい。

 私は大学生の侍ジャパンに関わっていて、アメリカチームの戦力分析のために選手を調査してみると、大半の選手が高校や大学の段階ですでにトミー・ジョン手術をしている。手術をした選手しかいない、と言ってもいいぐらいなんです。

【次ページ】 世界一の投手2人からの学び

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