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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「もう即決でした。本当に楽しみでしかない」井上拓真が語る那須川天心との王座決定戦オファーを受けたワケ「自分としても、ここで戦う運命なのかなって」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2025/11/15 11:00
那須川天心とのWBC世界バンタム級王座決定戦を前にその心境を語った井上拓真
「驚くも何も、あれが本来のスタイルですからね。最近は倒しに掛かる、倒し切るところが当たり前になっていましたけど、やってきているのはずっとそのスタイルですから。(自分の戦いでも)参考にできる部分もありますし、あの強敵相手に完封したこと自体に刺激をもらいました」
兄のスタイルであり、それがまた自分のスタイルでもある。
理想のボクシングは「打たせずに打つ」
かつて拓真に、理想のボクシングを聞いた際にこのように語ったことがある。
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「打たせずに打つ、ですよね。昔からずっとやってきているわけで、この部分をもっと濃くしていくことかなと思います。どのパターンになっても、どの距離になってもちゃんとそれができるようにしたいです」
相手がどう来ようが、どのような戦いになろうが、完封をやり遂げる。だからこそ相手が誰であろうとそのことをやり遂げられるかどうか、が彼の考える「試合のポイント」なのかもしれない。
今もその理想を求めていることは、わざわざ聞かなくとも伝わってくる。
「基本的には、そのスタイルを。ただそういったなかでもヤマ場をつくったりだとか、いろいろとあるんですけどね」
この邂逅は、むしろ運命的。そう水を向けると、拓真は頷くようにしていった。
「まあ自分としても、なんかここで戦う運命なのかなって。やっぱり自分があそこで負けていなかったら、こうならなかったとは思うので。めぐり合わせなんだなって」
堤戦の敗北は、単なるタイミング的なきっかけの話にとどまらない。1年前の、あの経験が井上拓真にとって大きなターニングポイントになったことは間違いないのだから。

