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ボクシング界の危機「リング事故を防げるのか?」検証委員会がJBCに「再発防止策は不十分」帝拳ジムは独自プロジェクトで“決意”「救急専門医を配備」

posted2025/10/19 17:01

 
ボクシング界の危機「リング事故を防げるのか?」検証委員会がJBCに「再発防止策は不十分」帝拳ジムは独自プロジェクトで“決意”「救急専門医を配備」<Number Web> photograph by Mikio Nakai/AFLO

8月に2人の選手が亡くなるリング事故が発生した後楽園ホール。JBCが再発防止に向けて奔走するなか、帝拳ジムは独自のプロジェクトを立ち上げた

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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同じ興行に出場したボクサー2人が命を落とすという痛ましいリング事故から2カ月。ボクシング界はこうした事故が2度と起こらないよう、さまざまな再発防止策を模索している。前編での専門家の解説に続き、後編ではボクシング界の取り組みを紹介していきたい。(全2回の2回目/前編へ)

事故検証委員会「再発防止策は不十分」

 8月に浦川大将選手、神足茂利選手の2人が死亡する事故が起きてからボクシング界は慌ただしく動いた。試合を管理する日本ボクシングコミッション(JBC)は同月19日に弁護士や医事関係者、JBC職員らで構成する事故検証委員会を設置。9月20日に中間報告が提出された。

 中間報告は2023年12月の日本バンタム級タイトルマッチで穴口一輝選手が死亡した際に再発防止策を提言したことを踏まえ、「選手の死亡事故という重大な結果を踏まえた再発防止策の施行状況としては不十分であり、安全管理のための組織改革がいまだ進められていないとの評価を免れ得ない」とし、23年の事故から1年以上たっても対策が不十分であると断罪した。

 具体策としては主に、後方支援病院の拡充や意識を失ったボクサーの搬送経路や手順の確認など事故が起きたときの対応、トレーナー講習会の実施や過度な水抜き減量の禁止など試合前の対応について提言があった。同委員会の最終報告は、当該選手の所属ジムや遺族、病院関係者の聞き取り調査を実施した上で年内に提出される見込みだ。

JBCの対応「急性硬膜下血種が疑われる場合は…」

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 こうした中間報告を受け、JBCは試合会場に救急救命士の配置をすでに始めている。JBCの安河内剛本部事務局長は次のように説明する。

「まだすべての試合ではないですが、救急救命士を試合会場に配置し始めました。たとえば昏倒した選手をスムーズに運びだす作業は簡単ではない。我々は何度もそうした事態に立ち会ってきましたが、分かっているようで分かっていないことも多い。昏倒した選手にどう対応するのか。どこに何人を配置し、どういう手順で担架に乗せるのか。いままでは担架に頭を固定するだけでしたが、首を固定するカラーを導入することにしました」

【次ページ】 帝拳ジムが独自プロジェクトで示した“決意”

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