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箱根駅伝の「絶対王者」青学大に“ある異変”…異例の「強すぎるエース」依存から脱却に必要な条件は? 原晋監督は「歴代でもナンバーワンの選手」
posted2025/11/12 06:00
出雲駅伝、全日本大学駅伝でともに異次元の走りで区間賞を獲得した青学大の黒田朝日(4年)。これほどエースへの依存度が高い青学大は珍しいケースだ
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Shiro Miyake
今や、青山学院大の原晋監督が掲げる“大作戦”は、大学駅伝の恒例となっている。
『朝日にかける大作戦』
これが今年の全日本大学駅伝で原監督が発令した作戦名。大会を主催する朝日新聞とテレビ朝日、そして青学大が誇る大エースで主将の黒田朝日(4年)の名前をかけたものだった。
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「黒田朝日は7区を予定をしておりますけれども、黒田朝日一人に責任を負わせるという意味ではなく、朝日が走りやすい位置で、1区から6区の面々がこのステージを駆け抜けてほしい。そして、朝日が最後は頑張ってくれる、そういった意味を込めています」
レース前日の記者会見で原監督は、この大作戦の意図をこのように説明した。出走する選手たちの奮起を促すことも、その目的にはあった。
圧巻だった青学大の“大エース”黒田朝日の走り
実際、当日変更で7区(17.6km)に登場した黒田のパフォーマンスは圧巻だった。
「彼は時計を持たずに走りますが、17.6kmの距離を本当に上手にマネジメントする。どの駅伝においても外さないのが彼の強みで、今の自分の状態で確実に走り切るセルフコントロールが長けているランナーですので、全く心配はしておりません」
原監督は自信を持って黒田を7区に配していた。
序盤は苦戦していた青学大だったが、6区の飯田(翔大、2年)が区間賞の快走を見せ、黒田は5位で走り出した。
ただ、「朝日に渡った時に先頭、もしくは30秒以内であれば優勝争いに絡んでくる」という原監督の目論見通りには進まず、先頭をひた走る駒大には2分52秒差と、逆転優勝を狙うには厳しい状況だった。
「早稲田より数秒前か後ろで来るかなと思っていたんですけど、飯田が予想よりも頑張って走ってきてくれたので、その勢いに乗って走りました」
それでも、黒田は淡々と前を追い、この区間でごぼう抜きを演じる。
「前半は余裕を持って入って、中盤から後半にかけてしっかり上げていくというイメージで走っていました」

