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箱根駅伝の「絶対王者」青学大に“ある異変”…異例の「強すぎるエース」依存から脱却に必要な条件は? 原晋監督は「歴代でもナンバーワンの選手」
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和田悟志Satoshi Wada
photograph byShiro Miyake
posted2025/11/12 06:00
出雲駅伝、全日本大学駅伝でともに異次元の走りで区間賞を獲得した青学大の黒田朝日(4年)。これほどエースへの依存度が高い青学大は珍しいケースだ
黒田はもともと3000m障害の実力者だったが、昨年4月の織田記念で一区切りを付けて、トラックでは5000mや1万mを主戦場とするようになった。
「自分の中で“もういいかな”と思って。やっぱり学生としてメインで戦っていくべきところは、3000m障害よりも1万mや5000mだと思うので、そっちでしっかりチャレンジしていきたい」
当時このように話しており、その後、一気に学生長距離界を代表する選手へと駆け上がっていった。
原晋監督「歴代でもナンバーワンの選手」
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駅伝でも圧巻のパフォーマンスを連発。マラソンでは今年2月の大阪マラソンで2時間6分05秒の日本学生記録を打ち立てた。多くの名ランナーを輩出した青学大において「歴代でもナンバーワンの選手に成長した」と原監督が公言するほどだ。
今季の青学大は、現状では、黒田に続く存在が現れていない。それは原監督も重々承知しており、出雲駅伝の際は経験の浅い選手たちが大化けする期待を込めて、『ばけばけ大作戦』を発令した(もちろん島根県を舞台にしたNHK連続テレビ小説『ばけばけ』を踏まえた作戦名でもある)。
箱根駅伝で初優勝、連覇を果たした時には、“3代目山の神”と称された神野大地の活躍が目立ったが、一色恭志や久保田和真、小椋裕介といったエース格の選手が複数名いた。
その後も勝利を重ねた青学大の強さは、選手層の厚さと複数名のエース格を擁していた点にあった。箱根駅伝で8回目の総合優勝を飾った昨年度も、黒田の他に、鶴川正也や太田蒼生といった選手が存在感を放ち、強力な布陣を築いていた。

