箱根駅伝の「絶対王者」青学大に“ある異変”…異例の「強すぎるエース」依存から脱却に必要な条件は？ 原晋監督は「歴代でもナンバーワンの選手」 

　中間点を前に帝京大を抜いて4位に浮上すると、後半に入りさらにギアを上げた。約14kmで國學院大を抜き去り、15.5kmでは1分48秒も前にいた中大を抜いて2位に浮上した。

「順位を上げることはもちろん、区間新もある程度は視野にいれながら走っていました。その中でしっかりと自分のパフォーマンスを最大限発揮できたかなと思っています」

　田澤廉（駒大OB、現トヨタ自動車）が持っていた区間記録には、15kmの時点ではわずかに遅れをとっていたが、最終的には7秒上回り、新たな区間記録を打ち立てた。

各チームのエースランナーを一蹴…圧倒的強さ

ADVERTISEMENT

　今回の7区には、恥骨のケガからの復帰レースとなった佐藤圭汰（駒大）や、今季のトラックシーズンを席巻した山口智規（早大）、さらにはハーフマラソン59分台の記録をもつシャドラック・キップケメイ（日大）といった強力な顔ぶれがそろった。それでも、黒田は7区に集った他校のエースたちを意に介することはなかった。

「他の選手は気にすることなく、自分の走りだけにフォーカスして走りました」

　その結果、区間2位のキップケメイに46秒もの大差を付けて区間賞を獲得。ライバルと目された選手たちを全く寄せ付けなかった。

全日本では田澤廉（駒大→トヨタ自動車）の持つ区間記録を更新した　©Shiro Miyake

　黒田は、出雲駅伝でも最終6区で区間賞を獲得し、3人を抜いて入賞圏内の7位までチームを押し上げた。全日本でもチームは優勝を逃し3位に終わったものの、黒田の存在感は際立った。

　それにしても、原監督が作戦名に選手の名を入れるのは異例と言える。

　見方を変えれば、今の青学大において、それほどまで黒田が絶対的な存在ということなのだろう。

【次ページ】　原晋監督「歴代でもナンバーワンの選手」