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「これだけは言っておきたいのですが…」ヤクルト監督退任の高津臣吾が明かす日本シリーズ、山本由伸との対戦「一度も彼に勝ちをつけさせていない」
posted2025/11/17 17:01
2020年からヤクルトで監督を務めた高津
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph by
Tomosuke Imai
発売中のNumber1131号に掲載の[退任監督インタビュー(1)]高津臣吾「来年は神宮のスタンドで」より内容を一部抜粋してお届けします。
高津監督が語るヤクルトの6年間
監督在任中は、あまり眠れないと聞いていた。シーズンが終了し、監督を退任したいま、安眠はできているのだろうか?
「それが、監督を辞めてからも寝つきが悪くて。監督業は関係なかったみたい(笑)。どうやらショートスリーパーのようです」
高津臣吾。2012年に現役を引退した後、'14年から古巣のスワローズで一軍投手コーチ、二軍監督を経て、'20年に監督に就任。'21年には日本一に輝き、翌年はセ・リーグ連覇を達成した。今季は主力の村上宗隆をはじめとしてケガ人が続出し、苦しい戦いを強いられ、6位となった。
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「この6年間を振り返ると、本当にいろいろなことがありました。長くやらせてもらったと言うことも出来るし、アッという間だったという感覚もあります」
リーグ連覇は「若手とベテランの化学反応」
'21年、'22年のリーグ連覇はチームの金字塔だ。二軍監督時代から育ててきた選手たちと、青木宣親、石川雅規らのベテランとの化学反応が強さを生んだ。
「投手陣は先発、ブルペンに右、左がともに揃っていて、いろいろな角度から攻めの采配ができました。打線の方では出塁する、つなぐ、そして返すという役割分担が明確で、ベテランと若手のバランスも良く、得点力がありました」
日本シリーズは、2年続けてオリックスとの対決。相手には山本由伸、宮城大弥の先発二枚看板がいた。
「'21年の日本シリーズの時、バファローズの戦力分析をしてみて、山本由伸、宮城のふたりから、なかなか点は取れないと思ってました。僕自身、相手の強い先発には、こっちも強い先発をぶつけていくという発想だったので、第1戦は奥川(恭伸)、第2戦を高橋(奎二)という、シーズン後半になって昇り調子の若いふたりに任せることにしました」
'21年の初戦は9回裏に逆転負けを喫したものの、山本を序盤で攻略し、奥川が中盤まで見事な投球を見せた。そして第2戦は、高橋が宮城に投げ勝った。強気の采配が功を奏し、3勝1敗と先に王手をかける展開に。このシリーズは6試合中1点差が5試合、2点差が1試合という緊張感あふれる試合の連続だった。
「どうでもいいことですけど、僕の誕生日の11月25日が第5戦でした。コロナ禍の影響でシーズンがずれ込み、自分の誕生日に公式戦を戦うのは初めてだったので、こんなチャンス二度とないなと思ってました。この日に決められたら良かったんですけど、そう簡単には行かない。第6戦からは京セラドームが使えなくて、屋外のほっともっとフィールド神戸へ。凍える寒さでした」

