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「これだけは言っておきたいのですが…」ヤクルト監督退任の高津臣吾が明かす日本シリーズ、山本由伸との対戦「一度も彼に勝ちをつけさせていない」
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生島淳Jun Ikushima
photograph byTomosuke Imai
posted2025/11/17 17:01
2020年からヤクルトで監督を務めた高津
「これだけは言っておきたい」山本由伸との対戦
優勝を決めた第6戦も、相手は山本由伸が先発だった。
「これだけは言っておきたいんですが、ウチは2年間で、一度も彼に勝ちをつけさせてないですから(笑)。この日は9回まで投げさせてしまいましたけどね。5回表にオスナがヒットで出て、そのあと犠牲バント、そして塩見(泰隆)のタイムリーでなんとか1点をもぎ取るのがやっと。その裏に同点にされて、延長まで行きましたけど」
延長12回表、代打・川端慎吾が勝ち越し打を放ち、日本一をたぐり寄せた。
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「12回、2死から塩見がヒットで出て、暴投が絡んで、川端のタイムリー。相手の内野が前進守備で、狙っても落とせないところに打球が飛んだ。野球の神様って、いるんだなと思いました。日本一の達成感、あれは忘れられない。逆に翌年、2勝からひっくり返されて、あれはショックで、これまでで一番悔しい負け方の一つでした」
日本シリーズ連覇を逃した要因
'22年は2勝1分けと優位に立ちながら、4連敗を喫して連覇を逃した。
「スワローズは、日本シリーズ連覇がない。2勝リードして、これは絶対に行けるという状況でした。この時は、勝つことへのプレッシャーを感じてましたね。短期決戦って、主導権とか、勢いとか、目に見えない『何か』の奪い合いなんです。でも、ミスをするとその何かが逃げていく」
2勝3敗1分けで迎えた第7戦、5回表に4点を取られた。記録上、エラーはひとつだが、数字に表れないミスが連続した。
「無死一塁から、相手の犠牲バントをお見合いしてセーフにしてしまった。それも2者連続で。その時は、『ああ、これは負けるチームの典型的なパターンだな』と思いました。野球って不思議な競技で、こっちは何もしていないのに、相手がミスをして勝手に点が入っていくことがある。あの時は、ウチがミスをして、ビッグイニングを作られてしまった。8回裏に4点取って追い上げたのはチーム力があった証拠だと思いますが、連覇の千載一遇のチャンスを逃してしまった悔しさが今もあります」
'23年からは厳しいシーズンが続き、5位、5位、6位と下位に低迷する。
「スワローズの課題として、選手層が薄いことが挙げられます。ジャイアンツやホークスのように育成ドラフトでも選手をたくさん指名して、競争原理のなかでチームを強化していくスタイルではない。そうした事情もあって、ケガ人が増えてくると、マネージメントが難しくなってきます」
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