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「人生経験が足りない」ラストイヤーの坂本花織(25歳)にじつはあった反対意見「いやー、そりゃ負けたくない」“浅田真央に並んだ”NHK杯優勝の舞台裏
posted2025/11/10 17:43
NHK杯フリー『愛の讃歌』の演技を行う坂本花織
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
圧巻だった。
11月7~8日に行われたフィギュアスケート・グランプリシリーズ第4戦、NHK杯の女子で坂本花織が優勝した。
「納得のいくものができてほっとしています」
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と振り返るショートプログラムは77.05点で2位に9点以上の大きな差をつけて1位。
迎えたフリーでも、冒頭のダブルアクセルを皮切りにジャンプを次々に成功させる。スピード感あふれる滑りとステップ、スピンに場内が沸く。
フィニッシュ。坂本は宙に掲げた両腕を力強く振り下ろし、演技への手ごたえを表した。場内はスタンディングオベーションで称える。
得点は150.13点、合計227.18点。ともに今季世界最高得点である。2位との差は27.18点、圧勝で終えた。NHK杯優勝は4度目、浅田真央と並ぶ歴代2位となった。
坂本が明かした“緊張論”
強い決意を持って臨んだ大会だった。
「今回のNHK杯はミスが許されない」
前回のフランス大会は、ショート、フリーともに上々と言える演技をして、高得点をマークしながら、中井亜美に次ぐ2位に終わった。ジャンプはすべて着氷したが、スピンのとりこぼしなど細かなところのミスがあった。目指す演技というところには至らなかった。
今回は地元関西圏での大会で、見に来る知り合いも多い。しっかりいい演技を、という気持ちは強かった。
緊張も強かったと言う。
「緊張感は経験が増えれば増えるほどという感じで。シンプルに緊張しいなので、今日(フリー)も、今回ももちろんめちゃくちゃ緊張したんですけど」


