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「ダビデとゴリアテ? ヘビー級王者同士の戦いだった」ドジャースに敗れたブルージェイズ監督が明かした本音…「きっとずっと思い返す」1シーンとは?
posted2025/11/07 17:02
第7戦までもつれたワールドシリーズでドジャースに敗れたブルージェイズのジョン・シュナイダー監督
text by

一野洋Hiroshi Ichino
photograph by
JIJI PRESS
2025年のワールドシリーズは、近年稀に見る熱戦だった。
ロサンゼルス・ドジャースが4勝3敗でトロント・ブルージェイズを下し、球団史上初の2連覇を達成。しかしトロントにとってそれは「完敗」ではなく「あと一歩」の敗戦だった。
ジョン・シュナイダー監督の言葉からは、敗北の中に確かな誇りと手応えが滲む。
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「ああ、厳しい――振り返ることが山ほどある。7試合、そのうち2試合が延長。いい野球をしたと思う。選手たちを誇りに思う。特別なグループだ」
ブルージェイズは本当に「ダビデ」だったか?
シリーズ開幕前、メディアはこの対決を「ダビデとゴリアテの対決」と描いた。
大補強を重ねたドジャースに挑む“挑戦者ダビデ”がブルージェイズ。だが、シュナイダーはこの構図について否定していた。
「あちらを見て“あれがゴリアテだ”なんて言うことだけはしない。ドジャースは欠点もあれば長所もある。打ち負かせるチームだ」
その考えは、チームが第7戦に敗れた後も変わっていなかった。
「彼らをスウィープできるチャンスもあったと思っている。自分たちの野球をやりきったし、その野球はメジャーのどのチームにも負けない。だから“2人のヘビー級チャンピオンの戦い”という表現のほうが正しいと思う。
シリーズ前に“ダビデ対ゴリアテ”なんて言われていたけど、そんなの全然ちがう。相手は確かに強い。だが私は、この26人を世界中のどんなチームと比べても引けを取らないと思っている」
この発言が象徴するのは、彼らが“奇跡を起こす”ためではなく、“勝つために戦う”つもりで大一番に臨んだということだ。
そのスタンスの通り、シリーズが紙一重だったことを最も雄弁に物語るのは、監督自身の反芻である。

