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巨人スカウト「2位では指名するから」「えぇ?」長野久義の父親もパニック…日本ハム4位指名、ロッテ2位指名、2度の“入団拒否” 現役引退・長野のドラフトウラ話 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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posted2025/11/02 11:00

巨人スカウト「2位では指名するから」「えぇ?」長野久義の父親もパニック…日本ハム4位指名、ロッテ2位指名、2度の“入団拒否” 現役引退・長野のドラフトウラ話<Number Web> photograph by JIJI PRESS

今季限りで現役引退した巨人・長野久義(40歳)。写真は2009年、巨人から1位指名され、原監督と握手

 長野も第80回都市対抗野球大会で、打率.579と首位打者を獲得する大活躍を見せ、ホンダの13年ぶりの優勝の立役者となり、チームメイトたちから胴上げされた。それでも安藤監督は、最後まで本当に1位指名されるのか不安を抱えていたという。

「あの日も不安で不安で……巨人の指名も最後の12番目でしたし、長い時間でしたね。2度目の拒否となった08年もいろんなところから誹謗中傷にも似たこともネットとかで書き込まれたり、言われたりして。(長野は)みんなの前では明るく振る舞ってはいましたけど傷つくことも、たくさんあったと思います」(スポーツアルバムNo.36 長野久義/ベースボール・マガジン社)

坂本が「“すげえこの人”、長野さんしかいない…」

 25歳での巨人入りと遠回りした形にはなったが、いざ始まると長野のプロ生活は順風満帆だった。1年目から外野のレギュラーに定着するといきなり新人王を獲得。2年目には打率.316でセ・リーグ首位打者に輝き、3年目には173安打で最多安打のタイトルを同僚の坂本勇人と分け合い、チームも日本一になった。坂本は長野の引退直後に、「(自分より)後から(巨人に)入ってきた人で、『すげえこの人』って思った人は長野さんしかいないかなというぐらいです。負けたくないなって思いながらやっていました」(スポーツ報知2025年10月27日付)と惜別のコメントを送っている。

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 長野は瞬く間に、分厚い選手層を誇る原巨人の主軸に定着した。外野手としても11年から3年連続でゴールデングラブ賞を受賞。2012年には20盗塁をマークしたように、1年目から4年連続で二桁盗塁を記録する走攻守において球界トップクラスの外野手として活躍する。なお、入団から5年間の通算安打数767安打は、日本人選手としては2023年に近本光司(阪神)が更新するまで、長嶋茂雄や青木宣親を抑えてNPB歴代最多記録だった。

 だがある意味、ピークが早く早熟のプレーヤーだった長野は、30代を迎えた2015年頃から、途端にそのキャリアに暗雲が立ちこめる。14年オフの右膝と右肘手術以降は攻守に精彩を欠き、盗塁数が激減し併殺打が増えるなど脚力の衰えも目立った。

<続く>

#2に続く
「立浪和義コーチの助言をまさかの“無視”事件も…」巨人で愛された40歳、長野久義は“頑固”だった「両親の助言をスルーしてドラフト入団拒否」
この連載の一覧を見る(#1〜3)

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