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「佐々木麟太郎より驚いたのは…」ベテラン記者が聞いたドラフト会議“敏腕スカウト反省会”「ドラ1確実」サウスポーが2位指名だった“まさかのワケ”
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byYuki Suenaga
posted2025/10/30 17:01
今年も様々なドラマを生んだドラフト会議。果たしてスカウトたちの「反省会」では何が語られたのか
事前の指名予想で「1位確実」と評された高完成度のサウスポー。私などにとっては、1位12名が確定した時、毛利投手が残っていたことのほうが、「佐々木麟太郎」よりよっぽどサプライズだった。
「あれは、ヤクルトよ」
「ヤクルトが毛利だったんですか?」
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「いや、ヤクルトの毛利はない。でも、ヤクルト1位の枠に毛利がハマっていればなぁ」
つまり、こういう意味のようだった。
1位指名12個の枠に、候補をあてはめていけば、その1つに入るのはヤクルト1位の松下歩叶(内野手・法政大)ではなく、毛利がふさわしかったというのが、ベテランスカウトの見立てだった。
なぜヤクルトは「1位・毛利海大」ではなかった?
「ヤクルトは毛利が欲しくても行けない(指名できない)事情があるだろ?」
「明治とあんまり(関係が)よくないんですか?」
「そうじゃなくてさ……石原がいるだろ」
明治大出身の2年目左腕・石原勇輝。2023年のヤクルト3位指名だ。
「同じピッチャーで、左で……きっちりかぶる。今の毛利と石原なら、毛利のほうが先に出てくる可能性もある。そういうところも気を遣うからな、スカウトは」
「毛利、左バッターの内を突けるじゃないですか。僕なんか、その一点だけで毛利ですけどね」
「齊藤(汰直・投手・亜細亜大)の2位だって……実力は1位で間違いないですよね」
「それがドラフトってものよ。シンプルに、現時点の実力だけで並べたら、毛利も齊藤も頭の10人に入ってくるさ。以前、こんなことがあってな……」
そのスカウトが語り出したのは、今から6年前、2019年のドラフト会議でのことだった――。
<次回へつづく>

