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「クボ、ミトマ、ミナミノ、ドウアン…今やサッカー大国だ」元日本代表監督トルシエがブラジル撃破に大喜び「アンチェロッティは何と言ったのか?」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2025/11/06 17:16

「クボ、ミトマ、ミナミノ、ドウアン…今やサッカー大国だ」元日本代表監督トルシエがブラジル撃破に大喜び「アンチェロッティは何と言ったのか?」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

ビニシウス・ジュニオールと久保建英のマッチアップ。所属クラブでの日常の戦いから、日本代表選手はハイレベルな競争でタフになっている

「日本代表の学習能力の素早さを示した。状況に即座に適応し、困難を克服する。困難の中から、日本は自信を獲得する。ひとつの成熟であり、とても重要なことだ」

――W杯のドイツ戦やスペイン戦も逆転の末の勝利でしたが、これは森保のひとつの能力と言えるでしょうか?

「森保一のコーチング能力であるのは間違いない。ドイツ戦を振り返れば、堂安律と三笘薫の投入が違いを作り出した。ブラジル戦ではそれが伊東だった。これらの勝利は日本の国際的な評価を高め、日本代表は大きく進化したと世界が認識した。

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 またそれは、同時に戦術の勝利でもあり、私にとっては日仏の縁が取り結んだ勝利でもあった。他に何が言えるか……、歴史的な勝利であり、価値ある成功だ。確固としたキャラクターが前面に出た勝利でもあった」

クボ、ミトマ、ミナミノ…欧州コンプレックスの克服だ

――ひとつの壁を突き破ったと。

「決して突発的な勝利ではない。継続性の中から生まれた勝利だ。パラグアイ戦から日本は、自分たちの気質をしっかりと表現していた。2度にわたり同点に追いついた(26分、小川航基。90+4分、上田)が、どちらも勇気とクレバーさがよく表れた得点だった。ブラジル戦は2点リードされたが、その運命を拒絶するような雰囲気が感じられた。試合の命運を覆すエネルギーを見出したように見えた。

 思うにそれが日本の最大の進化だ。つまり日本は、もはや運命を甘んじて受け入れるだけの存在ではない。運命に抗い、自らの力で新たな運命を切り開く。状況に適応し、変えられると自分たちの力を信じている。パラグアイ戦とブラジル戦で日本が見せたのは、決して諦めることのない姿勢だった。そして実際に困難や苦しさを力に変えた。驚くべきコレクティブな力だ」

――そうかも知れません。

「私は勝利が心理的な障壁を取り除くと思っている。日本は長きにわたり、アジアでの優位とヨーロッパとの落差の間に身を置いていた。しかし今、日本は、このふたつの距離を解消した。アジアでの強さを維持しながら、久保建英や三笘、南野、堂安らの力で、ヨーロッパに対するコンプレックスを克服した。以前は何かまずいことをするのではとどこかビクビクしていたが、今は失敗をまったく恐れていない。選手はためらうことなく自分を表現する。そして自分たちの責任を強く自覚している。

 日本がこれから世界に向かって示すのは、強固な基盤の上に築きあげられたチームだ。チームは自信に溢れている。プレーに対する自信だけでなく、自らの運命にも自信を持っている。今の日本であれば、サッカー大国の仲間入りをしたと言っても差し支えないだろう。

アンチェロッティは試合後、何と言っていたのか?

――あなたは今、「日本はサッカー大国の仲間入りを果たした」と言いましたが、本当にそこまで言いきれますか。

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