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「ブラジルDFのミス→ミナミノのゴールが転換点だ」元日本代表監督トルシエが現地観戦でズバリ「イトウが違いを作り出した」なぜ大逆転できたか
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/11/06 17:15
劇的な展開でブラジル戦初勝利を挙げた日本代表。現地観戦したトルシエ氏は伊東純也を激賞した
――前線からプレスをかけて、ブラジルのプレーを制限するという戦略で日本は試合に臨みましたが、これがうまくいかなかった。しかし2対0とリードされても、選手はハーフタイムのロッカーでは冷静で落ち着いていました。コーチもより具体的に指示を出して、後半に臨む選手のメンタリティが高まりプレーがよりアグレッシブになりました。
「その通りだと私も思うが、ゲームの綾というものがある。この試合の綾は、ブラジルディフェンダーのミスだった」
違いを作り出したのは、イトウだ
――たしかにあのミスがなければ、ゲームの流れはまったく違っていたでしょう。
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「後半開始早々のゴールが日本に希望を与えた。ブラジル戦は日本にとって大きな山であり、成熟度の違いをブラジルに見せつけられて前半で0-2とリードされた。だからあのミスがなければ……あの瞬間こそが心理的な転換点だった。
日本がそれ以前の試合――パラグアイとは2−2で引き分け、9月もメキシコと0−0で引き分け、アメリカには0−2で敗れたことを考慮すれば、さらにブラジルは直前に韓国を5対0で破っていたことを考えれば、ハーフタイムで0−2とリードされるのは日本にとって尋常な事態ではない。命運は尽きかけていた。
ブラジル戦の成功は、そこから逆転ができたことだ。日本に大きな自信を与え、グループはダイナミックな活力を取り戻した。そして森保一監督は、自らのビジョンへの確信を深めることができた。ヨーロッパで活躍する選手たちが、彼の期待に応えたからだ。
私は日本とフランスの縁を感じた。反撃のゴールを決めた南野(モナコ)と同点ゴールの中村敬斗(スタッド・ランス)はフランスでプレーし、2アシストの伊東純也は少し前までフランスのクラブ(スタッド・ランス)に所属していた。
そしてその伊東が、違いを作り出した」〈下の【関連記事】に続く〉

