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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「佐々木朗希がいなければ敗退していた」“古巣”ドジャースの苦闘を解説者はどう見た?「あの3イニングはそれくらい大きい」ロバーツ監督の采配にも本音
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曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byGetty Images
posted2025/10/14 17:35
ポストシーズンでドジャースのキーマンとなっている佐々木朗希
「ドジャースは急がない」日本のプロ野球との違い
――ドジャースのマイナーでのコーチ経験を持つ山下さんに伺いたいのですが、焦らずにじっくりと時間をかけるのはドジャースという球団の特徴でもあるのでしょうか。
山下 たとえば若い頃のネイサン・イオバルディ(現テキサス・レンジャーズ)。才能のある投手だったけど、ときどきシーズン中でも下に降りてきて、ピッチャーノックや投内連携を丁寧にやっていましたね。投手のリハビリや育成についての詳しいスケジュールまではわからないけど、僕の印象としては「急がない」。きっちりと細かい計画を立てて、慎重に進めるのがドジャースというチームだと思います。メジャーリーグ全体にそういった傾向があるとも言えるのかもしれないけどね。
――それは日本のプロ野球に比べて、ということでしょうか。
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山下 日本の場合でも優秀なピッチャーが軽い故障をしたり調子が上がらなかったりしたときに二軍で調整するけど、細かい計画を立てるというよりも、少しよくなったらわりと急いで上げる傾向がある。対して、メジャーというかドジャースは中途半端な状態では戻さない。そういうチームだと思う。実際、佐々木もマイナーで復帰したときに結果が出なかったし、球速も一時的に落ちていたけど、そのあたりをもう一度検証して、改善した。結果として、あの躍動感のあるフォームが戻ってきた。短いイニングだからかもしれないけど、腕もよく振れていますよね。ボールにも力があるのがわかります。
「佐々木朗希がいなければ敗退していた」
――驚きはやはり地区シリーズ突破を決めたフィリーズ戦(現地時間10月9日)の3イニング起用です。あの起用法については率直にどう思いましたか?
山下 おそらく当初は延長戦までは考えず、同点の8、9回を任せるつもりだったはず。ただ、フィリーズのバッターが「佐々木は簡単には打てない」と感じていたのか、速球に絞って早打ちをしてきましたよね。それで球数的に「10回も頼む」となったのでは。3イニングっていうのは最初から計算していたわけじゃないでしょう。デーブ・ロバーツ監督としては「この試合で決めなきゃやばい」という気持ちもあったと思う。競り負けて、最後にフィリーズの本拠地でやるのは大変ですから。

