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「直近1敗2分、W杯なら敗退だ。しかし」日本代表vsブラジル…トルシエ元監督がズバリ展望「未熟でナイーブなまま」U-20W杯敗退には苦言 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byKiichi Matsumoto/JMPA

posted2025/10/14 17:19

「直近1敗2分、W杯なら敗退だ。しかし」日本代表vsブラジル…トルシエ元監督がズバリ展望「未熟でナイーブなまま」U-20W杯敗退には苦言<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto/JMPA

2022年に行われたブラジル戦は0-1に終わった。3年を経ての再戦で、日本代表はどこまで肉薄できるか

「日本にはポテンシャルがある。効率性の欠如は常に批判されてはいるが、効率よく得点した昨夜の日本には、それは当てはまらなかった。

 ただ、パラグアイの最初の得点は、森保に戦略の修正を迫るかも知れない。相手は低いラインで守っていたから、日本はボール保持を余儀なくされた。日本は忍耐強く知性もある。前半の出来は素晴らしく、とても興味深かった。後半は選手交代や(パラグアイの)システム変更もあり、日本は前半のようにはゲームを支配できなくなった。

 だからこそ森保は、後半になってもプレーの強度が落ちないようにベンチをより豊かにする必要がある。彼は適切に仕事をしているが、結果として求められるのは素晴らしいプレーではなく、W杯で準々決勝に進むことだ。いいプレーをすることが目的ではない。ベスト8到達という目的達成のために、効率よくプレーをすることだ。

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 繰り返すがこの3試合がグループステージだったならば、日本は敗退している(9月:メキシコ戦△0-0、アメリカ戦●0-2、10月:パラグアイ戦△2-2)。だが準備のための試合としては満足すべき内容だ。さまざまな部分で修正を加え、プレーの哲学も十分に感じられる。選手も一丸となって働いている。

 本当の喜びはその先にある。日本の準々決勝進出は、日本の人々――ファンやサポーター、サッカー関係者、メディアが長年待ち望んだことであり、日本選手のクオリティを鑑みれば極めて適切な目標であるからだ。だからこそ大きなプレッシャーがかかるし、8カ月後の本大会に向けて、やるべきことはまだまだたくさんある」

スマートな戦略で臨まねばならない

――ブラジル戦、日本の目的と課題は何でしょうか。アメリカやパラグアイ、メキシコとは異なり、ブラジルはアルゼンチンやスペイン、フランス、イングランドなどと並ぶ世界最強国のひとつです。

「まず3年前の対戦(2022年6月6日、国立競技場。日本0-1ブラジル)で犯したようなミス(遠藤航のリシャルリソンへのファールがPKに。ネイマールが77分にそのPKを決めた)を犯さないこと。つまり自分たちの哲学で自分たちのプレーをする。そして相手を恐れることなく、彼らを走らせるようにする。国立での試合は私も見たが、日本はできるだけ速く前線までボールを運ぼうとしていた。

 ブラジルの選手たちは守るのは得意でないし好きでもない。だから彼らをできるだけ走らせる。日本はボールを保持して忍耐強くプレーする。得点を決めるのに5人も6人も選手は必要ではない。1人か2人、多くとも3人で十分だ。つまり求められるのは、特に自分たちがボールを保持したときにより戦術的にプレーすることだ。

【次ページ】 90分間プレスをかけるようにすることだ

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