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大谷翔平「じつは落選していた」楽天ジュニアのセレクション…そのエースだった“仙台の天才”は何者か「彼の剛速球で捕手が骨折」「仙台育英に進学」 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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posted2025/10/14 11:02

大谷翔平「じつは落選していた」楽天ジュニアのセレクション…そのエースだった“仙台の天才”は何者か「彼の剛速球で捕手が骨折」「仙台育英に進学」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

ドジャース大谷翔平(31歳)。大谷が小6のとき“落選”した楽天ジュニア、そのエースの今を追った

 ところが、渡辺の口ぶりはどこまでも控えめで、若い頃からスポーツの世界で賞賛を浴び続けてきた人間にありがちな傲慢なところは微塵も感じさせなかった。むしろ、スポーツマンというより、文化系タイプの人間のように思えたほどである。

 渡辺の名前が強く印象に残ったのは、三浦拓実に話を聞いていたときだった。

 三浦は2012年春、宮城県の石巻工業が21世紀枠として甲子園に出場したときのエースだ。石巻市は宮城県北東部の太平洋に突き出た牡鹿半島の玄関口とも言える場所にあり、仙台市に次ぐ県第二の都市でもある。甲子園に出場した前年、東日本大震災の際は震源からもっとも近い場所にあったため、津波の浸水面積と、震災被害による死者・行方不明者の数は被災市町村の中で最大だった。

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 石巻工業のグラウンドにも津波が押し寄せ、野球用具はすべて流されてしまった。それから一年後の快挙だったため、同校の甲子園出場は全国の注目を集めた。

 三浦は石巻中央リトルシニアに所属していた中学時代、そして高校時代も大谷と対戦したことがあるのだという。中学時代の印象は「うーん、まあ……」という程度だったそうだ。ところが高校1年の秋に練習試合で対戦したときは「もう、オオタニサンでした。別人」と感嘆した。

 その三浦が大谷を語るとき以上の熱量で絶賛した選手がいた。それが小学校時代に目撃した渡辺だったのだ。

渡辺の球を受けたキャッチャー「骨折していた」

 宮城県には通称「ジャンボ大会」という、文字通り大きな少年野球の大会がある。正式名称は「河北新報旗争奪 宮城県スポーツ少年団軟式野球交流大会」。宮城県および近隣エリアの軟式ボールを扱う学童野球チームが一堂に会し争われる大会で、近年の参加チーム数は200を割り込むことも珍しくないが、2010年頃までは300前後のチームがエントリーするまさにビッグトーナメントだった。

 三浦が所属する石巻小レッドベンチャーズはもともと前評判が高く、2006年、彼が小学6年生のときに同大会のベスト4まで勝ち進み、準決勝で「三番・エース」の渡辺が牽引する荒浜ビックウェーブと対戦した。三浦の回想だ。

【次ページ】 渡辺の球を受けたキャッチャー「骨折していた」

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