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「だから種付けはやめられない」GI未勝利“ディープインパクトの全兄”ブラックタイドはなぜ大種牡馬に?「ザ・サンデーサイレンスという感じで気性も強い」
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江面弘也Koya Ezura
photograph byKeiji Ishikawa
posted2025/10/23 17:01
現在24歳のブラックタイド。ブリーダーズSSの現役種牡馬だ
昨年、ブラックタイドは7頭に種付けしてすべて受胎したそうだ。ことしも5頭に種付けし、すべて受胎している。
「だから種付けをやめられないんです。去年は金子オーナーの馬にも付けましたし、付けたいという人がいたら種付けしている、という感じですね」
ブラックタイドがブリーダーズSSで種付けをはじめたのは'09年だった。それまでもブラックホーク、ブラックタキシードなど金子真人の所有馬が何頭も種牡馬になっていた経緯もあってここに来た。
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「先にディープインパクトが種馬になっていたけど、タイドは馬っぷりがよかったので、『どこで種馬にするんだ?』という声は多かったですね。決まる前から、シンジケートも人気あったし」
シンジケートはすぐに満口になり、1年めの種付け料が50万円に決まると、「ディープインパクトの全兄」の血を求めて種付け希望が殺到する。弟のディープインパクトは2年前に社台スタリオンステーションで種牡馬になっていて、'09年当時の種付け料は1000万円だった。それを思えば、だれでもブラックタイドを種付けしたくなるだろう。「なかなか当たらなくて、苦情もあった」と坂本は当時を振り返った。
「安かったので、種付け頭数には恵まれていましたね。さすがにディープと比べるのは……と思ってましたが、そこそこやれるのでは、と期待はしてました」
デビューする前は兄のほうが評価が高かった
思えば、競走馬としてデビューする前は兄のほうが評価が高かった。ブラックタイドは'01年のセレクトセール当歳市場で9700万円で金子が購入した。翌年、「ブラックタイドの弟」という理由で金子が落札したディープインパクトより2700万円も高かった。小柄で見た目も牝馬のようだった弟と比べ、大きくりっぱな体をした兄は厩舎サイドの評価も期待も高かった。しかし、3歳春にスプリングステークスを勝ったものの、皐月賞は2番人気で16着に惨敗。それからは屈腱炎を患って長い休養があり、復帰後も勝てないまま引退している。
偉大な弟のおかげで1年めから多くの繁殖牝馬を集めたブラックタイドは、うまれた産駒の評判も上々で、テイエムイナズマがデイリー杯2歳ステークスに勝つなど1年めから産駒が活躍した。そして、3年めの産駒からキタサンブラックが登場する。
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