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「金子オーナーはありがたいです」ブラックタイド、GI未勝利“ディープインパクトの全兄”はなぜ大種牡馬に?《キタサンブラックの父、イクイノックスの祖父》

2025/10/09
現在24歳のブラックタイド。ブリーダーズSSの現役種牡馬だ
7歳まで走って重賞勝ちは3歳春、クラシックトライアルのGIIのみ。「ディープインパクトの全兄」という血統を買われて種牡馬になった。初産駒は望外に走り、3世代目にキタサンブラックが誕生する――。数奇な馬生を歩み続ける、いまなお“現役”の24歳のもとを訪ねた。(原題:[GI未勝利の大種牡馬]ブラックタイド「『ひょっとしたら』が想像以上に」)

 名種牡馬と両親がおなじ「全兄弟」というと、偉大な兄や弟の“七光り”で種牡馬となるケースが多いが、種付けをする生産者は、おなじ血統の種馬に「ひょっとしたら」と期待を膨らませる。過去にもノーザンダンサーの弟(ノーザンネイティヴ、トランスアランティック)をはじめ、ニジンスキーの弟(ミンスキー)、ボールドルーラーの弟(ナスコ)、アリダーの兄(ホープフリーオン)など世界的な大種牡馬、名種牡馬の全兄弟が輸入され、近年でもフランケルの全弟ノーブルミッションが日本で種牡馬になっているが、残念ながら、血統ほどに活躍できていないのが現実である。

 ところが、輸入種牡馬でなく、国産の全兄弟種牡馬が驚くべき成功をおさめた。

 ディープインパクトの兄ブラックタイドである。息子のキタサンブラックからイクイノックスがでて、ソールオリエンス、クロワデュノールもクラシックに勝ち、父のサンデーサイレンスから数多く枝分かれした種牡馬の系譜のなかで、いちばん太いサイアーライン「ブラックタイド系」を形成する可能性さえでてきたのだ。8年前、キタサンブラックの取材でブリーダーズ・スタリオン・ステーション(北海道日高町)を訪れブラックタイドの話を聞いたときは、まさかこういうことになるとは想像もしなかった。

 ブラックタイドは24歳になった。シンジケート(種牡馬の共有組織)は2022年の種付け後に解散となったが、いまでもブリーダーズSSで種牡馬をつづけており、スタリオンの奥まったところにある“ひとり馬房”で自由気ままに生活している。以前は出国検疫厩舎だった場所で、一時期、ゼンノロブロイが功労馬として過ごしていたこともあるという。

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photograph by Keiji Ishikawa

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