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「ウソついたらすぐバレる」なぜ“地域リーグ勢”が主力のJ3クラブが鹿島と互角の戦いができたか「そこはコンチキショウと」異色の指揮官が語る
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byMasashi Hara/Getty Images
posted2025/09/29 17:03
ルヴァン杯鹿島戦、栃木Cのスタメン
地域リーガーから主力に育つチームに根づく“楽しさ”
――4年前から今まで残っている選手もいますか。
「スタメンだと佐藤喜生、岡庭裕貴がそうですし、ヨニッチと奥井諒、GKの相澤ピーターコアミ、直近だと齋藤恵太が吉田篤志と代わりましたが、彼ら以外のスタメンは全員が地域リーガーです。この前、スタッフとスタメンを見ていて、あれ、これってほぼ全員が関東リーガーじゃないかとなった(笑)。育てあげるのも不可能ではないということです」
――ギラヴァンツ北九州戦(6月8日、1-0で勝利)後に選手に話を聞きましたが、やっていることブレがないし、監督の言うこともハッキリしてそれを理解していると。やっていて楽しいと言っていました。
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「それは嬉しいですね。普段はなかなか聞く機会もないですから。選手が楽しいと思ってやってくれないと自己満足で終わってしまう」
――J3について、今後の展望についてはどうですか?
「ここまでは若干出来過ぎかなと思っています。ちょっと運が良く、もう少し力をつけないとというのが正直なところです。ただ、ギリギリのなかでも勝ち点3を獲れているので、これを確実なものにしていくには、自分たちの力をつけるのが大事な作業になってくると思います」
――具体的には何でしょうか?
「日々修正、改善だと思います。試合で何が出来て何が出来なかったかを、練習に落とし込んでやっています。うちは後期の方が調子がよく、去年のJFLでは一度も負けていません。今年も選手が理解度を増しているので、時間はポジティブに働くと思います。
「いい時代は弱い人を作る」監督が目を光らせる理由
――成長の手応えはどう感じていますか?
「昨年、昇格できたのは確実に自信になりました。でもそこで満足しては駄目で。英語でこんな言葉があります。『いい時代は弱い人間を作ってしまう。だが弱い時代が強い人間を作り、その強い人間が強い時代を作る。そして強い時代がまた弱い人間を作る』。ずっとそのサイクルが続いていくのですが、今がいい時代なら弱い人間を生む可能性もある。そこは目を光らせていかないと。満足することなく上を目指していこうとすれば、もっと強くなれると思います」
――栃木Cのサッカーとはどんなサッカーですか?
「攻守においてアグレッシブなスタイルです。どうすればボールを奪えるか。例えば子供はボールを奪われたら奪い返そうとしないわけがない。でも大人になると結果にこだわって、ここはいったん退こうとなる。そこはコンチキショウと思って奪いに行ってほしい(笑)。もちろん、もう少しロジカルに守備はしますが、奪われたら奪い返しに行くのが根本的な考え方です。
攻撃もそうです。

