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「実は全員同じ2002年生まれ」“ミウラ世代”? 三浦龍司・村竹ラシッド・中島佑気ジョセフは中短距離界を変えるか「目指していくのは金メダル」
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佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki (L/R)/Kiichi Matsumoto (C)
posted2025/09/21 17:05
同じ23歳の3人が、日本の苦手としてきた中短距離に新たな景色を切り開こうとしている理由とは?
今大会で見えたメダルとの距離感
そして中島は、世界陸上オレゴン大会400mは予選敗退、ブダペスト世界陸上は準決勝敗退、パリ五輪では予選を着順でクリアできなかった。歯ぎしりするような悔しさを飲み込み、絶対に結果を出すと東京に臨んだ。
準決勝後、「世界の選手に挑むっていうよりかは、もう自分が世界の選手の一員になるっていうような感じ。(決勝で)下克上をするというより、自分もこの大会の主役になれるぐらいの力というか自信を持って挑みたいと思います」と語り、自分に手応えを感じていた。
ファイナル後には「まだ先は長いのでメダル、それから金メダルっていうところを来年、再来年は目指していきたいなと思います」と、メダルへの挑戦を公言する表情には確かな自信が垣間見えた。
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今大会を経て、3人それぞれにメダルへの位置取りが出来たようだ。
「ミウラ世代」は「ゴールデンエイジ」たり得るか
さらに彼らは、未来に向けてポジティブな財産を残した。
国立競技場で村竹の走りを見ていた子どもが、「すごい!! あの人名前もカッコいいね」と、両親にうれしそうに話していた。村竹をはじめ、三浦や中島の走りを「カッコいい」と思う子どもたちやファンが今大会で大いに増えただろう。「自分もああなりたい」と彼らの次を目指す小さなランナーが、全国のあちこちで生まれてくるかもしれない。子どもたちにとっては、目の前で素晴らしい走りを見せた世界で5番目以下の彼らこそがヒーローなのだ。そうした小さな流れが競技普及のキッカケになる。
3人の活躍で、中短距離界が地殻変動を起こしそうな気配だ。
もしかすると今回の東京大会が、かつてのマラソンのように、日本中短距離が世界で戦える競技へと転換するターニングポイントになるかもしれない。その流れを今後もリードするのは「ミウラ世代」になるだろう。果たして彼らは、2002年生まれの「ゴールデンエイジ」になり得るだろうか——。
〈全2回の2回目/はじめから読む〉


