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「長い休みは必要かもしれないけど…」“まさかの予選敗退”はなぜ起きた? 北口榛花が涙を流して語った思い「中継には映らなかった」世界陸上ウラ側

posted2025/09/20 18:35

 
「長い休みは必要かもしれないけど…」“まさかの予選敗退”はなぜ起きた? 北口榛花が涙を流して語った思い「中継には映らなかった」世界陸上ウラ側<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

世界陸上女子やり投げ。北口榛花はまさかの予選敗退となった

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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Nanae Suzuki

 大会連覇、五輪を含めて世界大会3連覇への挑戦がまさかの予選敗退で幕を閉じた。9月19日にあった東京世界陸上第7日。女子やり投げ予選に出場した北口榛花は60メートル38で全体14位となり、上位12人による決勝に進むことができなかった。

「プレッシャーはなかったのですが、(もっと)投げられたという感触があるので、そこは悔しいです」

 涙が止まらなかった。

崖っぷちで迎えた3投目

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 入場、そして選手紹介から5万8643人の大観衆は沸き上がり、熱い視線が北口の一挙手一投足に注がれた。

 前日までの蒸し暑さが消えて快適な気象条件となった国立競技場で、北口は予選A組1番に登場。1投目は60メートル31となり、右手指で“あと少し”というジェスチャーを見せながら笑み混じりの複雑な表情を浮かべた。ただ、胸の前で両腕をクロスさせてポンッとタッチする様子には安堵感も見えた。

「1投目はやりがカーブしてしまったので、2回目は少し右に向かって行こうと思って投げました」

 ところが修正を効かせたはずの2投目も、少し伸びたが60メートル38にとどまり、一発で決勝進出となる62メートル50には届かない。

 崖っぷちで迎えた3投目は58メートル80。「ヤーッ」と叫んで全力を振り絞ったが距離は伸びず、不安そうな目でダビッド・セケラックコーチの方を振り返った。

「3投目は少しスピードも上げつつ、もっと前にというところで、久しぶりに投げ急いでしまったと思います」

 ライバルたちが北口の記録を上回る投擲を見せ、徐々に順位が下がっていく中、壁際に座って靴を脱いでいる間に目元が赤くなっていった。A組の全選手が投げ終わると北口の順位は8位まで下がっていた。

【次ページ】 「多分、決勝には残れないので…」に続いた言葉

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#北口榛花

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