「実は全員同じ2002年生まれ」“ミウラ世代”？ 三浦龍司・村竹ラシッド・中島佑気ジョセフは中短距離界を変えるか「目指していくのは金メダル」

　村竹ラシッドも「（海外遠征は）メリットしかない」という。

「世界を巡り、ダイヤモンドリーグで試合に出ることで、タフになれた。レースでは、色んなレベルの選手の中で走るということに慣れてきた。世界はこういうところだというのを自分のなかで理解できたので、レースで強い選手に対して怯んだり、物怖じすることがなくなった」

　今季5戦に出場した村竹は、ダイヤモンドリーグの初戦で13秒14を出し、世界陸上東京大会の参加標準記録を突破。モナコ大会で調子を整えて、8月のナイトゲームズ・イン福井で12秒92の日本記録をマークし、勢いをつけて今大会に臨んだ。

村竹はパリ五輪に続いて決勝に進出し5位を記録　©Kiichi Matsumoto

走ること以外の経験で「人間力」が高まる

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　海外では、走るだけではない経験も得られる。

　飛行機での長時間の移動から、いつもと違う食事や現地での調整。さらに近くに強豪選手がいるなかでのレースまでの過ごし方など、日本では味わえない経験ができる。その経験が三浦のいう「人間力」を高めてくれる。

　日本から飛行機で長時間移動して、コンディション調整が難しいレースに出る必要があるのか、と懐疑的な視線を向ける人もいるが、それは海外遠征の小さな側面しか見ていない。日本を出ず、井の中の蛙では世界と戦えるとは思えない。それは陸上だけではなく、サッカーや野球、バスケットボールなどあらゆるスポーツで証明済みだ。

コーチ陣も世界を知る必要性

　世界に慣れる、世界を知る。

　それは選手だけではなく、コーチ陣にも求められることだ。選手をサポートし、ただレースを見守っているだけでは選手の進化を補えない。トップレベルの選手は何か新しいことをしていないか、革新的なトレーニング理論はないか。おもしろいと思うものがあれば、海外のコーチや指導者とコミュニケーションを取り、やり方を学んで選手にフィードバックする能力が求められる。

　選手を軸にチームを編成して世界に挑むには、今後、そういう部分での強化がより求められていくのではないか。コーチ陣がトレーニングをアップデートできず、同じ練習をしていては、永遠に世界で勝てないだろう。

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