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世界陸上400mで“日本史上最高”の6位入賞…23歳の新星・中島佑気ジョセフって何者? 決勝レース前には「スティーブ・ジョブズの言葉が頭に…」
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/09/19 11:10
世界陸上男子400mで日本史上最高となる6位に入った中島佑気ジョセフ。予選では日本新記録をマークするなど大舞台で急成長を見せた
昨年のパリ五輪の前にはこう話していた。これが“世界”が身近にある環境でハイレベルなトレーニングを重ねてきた中島の実感だった。
ただ、その言葉とは裏腹に、なかなか結果が出なかった。44秒台への心理的な障壁は取り払ったはずだったが、それでも現実は厳しかった。
「負のスパイラル」にはまっていた今季
今年に入ってからも苦しい日々は続き、今回の世界選手権東京大会への道のりは険しさを増した。3月から4月にアメリカに渡ったものの、肺炎にかかってしまうというアクシデントに見舞われた。
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その後、帰国し練習を再開したが、今度はハムストリングスを肉離れ。5月のセイコーゴールデングランプリやアジア選手権など予定していた試合に出場できず、完全に負のスパイラルにはまってしまった。
ようやく今季初戦を迎えたのが7月の日本選手権だ。実に約10か月ぶりの実戦復帰だった。当然レース勘は鈍っており、連覇も途切れ5位に終わっている。
地元開催の世界選手権への出場には、黄信号が点っていた。
だが、追い込まれはしたものの、中島が諦めることはなかった。8月3日の富士北麓ワールドトライアルで自身初の44秒台となる44秒84をマークし、世界選手権の参加標準記録(44秒85)をも土壇場で突破して、日本代表に滑り込んだ。そして、地元開催の最高の舞台でしっかりと結果を残してみせた。

