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世界陸上400mで“日本史上最高”の6位入賞…23歳の新星・中島佑気ジョセフって何者? 決勝レース前には「スティーブ・ジョブズの言葉が頭に…」 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2025/09/19 11:10

世界陸上400mで“日本史上最高”の6位入賞…23歳の新星・中島佑気ジョセフって何者? 決勝レース前には「スティーブ・ジョブズの言葉が頭に…」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

世界陸上男子400mで日本史上最高となる6位に入った中島佑気ジョセフ。予選では日本新記録をマークするなど大舞台で急成長を見せた

 その後、中島は思い切った行動に出る。

大学3年…名門・南カリフォルニア大へ武者修行

 大学3年の終わりの23年2月から3月にかけて、日本陸連の派遣で名門・南カリフォルニア大学で合宿を行った際に「感覚がすごく良くて、手応えをつかんだ」と言う。そして、同年11月に安藤財団の支援を受けて、再びアメリカに渡り、約5カ月間同大学でトレーニングを積んだ。

 翌年4月に富士通に入社してからも、引き続き、アメリカでトレーニングを積んだ。

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「生まれ育った環境を捨ててまで、アメリカでやりたいことがあって挑戦をしてきた。アメリカに行った時点で“世界で勝負する”“陸上1本で勝負していく”という覚悟を決めていた。挑戦して得たことをしっかり世界の舞台でぶつけたい」

 当時、中島はこんなことを口にしていた。

 それほどの確固たる決意を持ってアメリカに渡り、1992年バルセロナ五輪の男子400m金メダリストであるクインシー・ワッツ氏の指導を受けた。また、マイケル・ノーマンや東京五輪男子400mハードル銀メダルのライ・ベンジャミンら、錚々たる面々と練習を共にした。

「44秒前半ぐらいは出せるのかな。というか、そのタイムを出しても、自分で全く驚きません。それぐらいの力をつけてきたので。本当に過酷な練習を乗り越えてきました。

 チームメイトと走る時には、毎回“絶対に離されない”っていうプレッシャーがありますし、なんなら“勝ってやる”ぐらいの気持ちを持って、レベルの高い競争の中でやってきましたから。自分がやってきたことを出せば、44秒中盤や前半が出ても予想の範囲内。それは、僕もチームメイトも共通の認識です」

【次ページ】 「負のスパイラル」にはまっていた今季

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