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世界陸上400mで“日本史上最高”の6位入賞…23歳の新星・中島佑気ジョセフって何者? 決勝レース前には「スティーブ・ジョブズの言葉が頭に…」 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2025/09/19 11:10

世界陸上400mで“日本史上最高”の6位入賞…23歳の新星・中島佑気ジョセフって何者? 決勝レース前には「スティーブ・ジョブズの言葉が頭に…」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

世界陸上男子400mで日本史上最高となる6位に入った中島佑気ジョセフ。予選では日本新記録をマークするなど大舞台で急成長を見せた

 その決勝レースに向かう前に、中島はスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学で講演をした時の言葉を思い浮かべたという。

「その時は何とも思わない経験や体験も、時間が経って過去を振り返った時に、そういった経験の点と点が結びついて一つの成果になるという、そういった言葉を思い出しました。自己嫌悪に落ちるほどの苦い経験もしましたし、アメリカ(に渡ったこと)も良い経験したなと思いつつも、すぐに(結果に)結びつくようなものではなかったので、疑心暗鬼になってしまうこともありました。

 今年の春先は世界陸上を考えられないぐらいどん底で、それも後悔しました。ただ、その時は違う道を選べばよかったというような後悔に思える経験も、今振り返ると自分の糧になっている。そういった失敗があったからこそ、一つ一つの経験が一つ一つの動き、戦略というところで生きてきたなと思う。なので、失敗を恐れずにチャレンジしてきた自分を褒めたいですね」

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 レース後、中島が滔々とこんな言葉を語った。

 今回、目標を成し遂げたにもかかわらず、悔しさが湧いてきたのは、中島自身にとっても驚いたことだったという。

「金メダルを目指していきたい」

 きっとこの悔しさも、将来振り返った時には、さらに高く飛び立つための糧になるのかもしれない。中島の胸の内にも、そんな確信があるのではないだろうか。

「まだまだ先は長い。金メダルを来年、再来年、目指していきたいと思います」

 世界のファイナルを経験した中島は、目線が確実に高くなっていた。    

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「高校は全国準決勝で敗退」「春には肺炎で不調も」“192cmの大器”が世界陸上400mで過去最高6位入賞…23歳の新星・中島佑気ジョセフ「不屈の履歴書」

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