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「オマエは決勝には行けないよ」「チームを解散しよう」世界陸上で決勝進出のウラで、田中希実と父に訪れた危機…親子コーチゆえの難しさとは?
posted2025/09/19 11:15
東京世界陸上、女子5000mで決勝進出を果たした田中希実
text by

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kiichi Matsumoto
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「オマエは決勝には行けないよ。心が乱れているし、今の時点でもうダメだ」
2023年ブダペスト世界陸上。女子1500mの準決勝を前に、田中希実のコーチを務める父・健智さんは日本選手団のコーチ陣の前でこう告げた。周囲は驚き、希実は目に涙を溜めた。本来なら「大丈夫、行けるよ」と励ましの言葉を望んでいたはずの娘に対し、なぜ父は厳しい言葉を投げかけたのか。
コーチの父が見つめた娘の不安と葛藤
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世界選手権開幕時、希実はどこか気持ちが定まらない様子だった。前年のオレゴンや春先のトラウマが彼女の中によみがえり、情緒不安定になっていたという。健智さんによれば「練習が本番に直結していて、この練習が完璧にこなせないと、レースでも上手く走れるはずがない」と思い込むのが希実の悪いクセだった。
1500m予選ではギリギリの滑り込み準決勝進出。その後、準決勝では1組最下位の12着に沈んだ。残る種目は5000mのみとなった希実だが、彼女の口からは「むなしい」という言葉ばかりが漏れ、まともな会話もできない状態に。我慢の限界だった健智さんは思わず言ってしまう。
「チームを解散しよう。自分で一から作り直せばいい」
選手自身が悩み苦しんでいる時は、周りは黙って受け止めるべきなのかもしれない。しかし健智さんは「コーチであると同時に、彼女の父親でもある」と語る。その言葉の背景には、二人三脚で走り続けてきた親子だからこそ抱える苦悩があった。
この父子二人三脚の関係性が、その後どのように変化していったのか──。親子でありながらコーチと選手という特殊な関係の内側で起きていた葛藤は、本編で詳しく描かれている。
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この文章の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。
