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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「44試合19本塁打」村上宗隆の離脱3カ月超、「防御率2.48で6勝14敗」森下暢仁、高橋宏斗も負け越し…広島・中日・ヤクルトの“大誤算”
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2025/09/16 17:04
驚異的ペースでホームランを量産している村上宗隆。ただヤクルトは彼がシーズンフル稼働していたとしても……。
今季復活したエースの大野雄大は10勝4敗と2020年以来の2ケタ勝利。とくに阪神戦3戦3勝、率1.74。全体としては下位に低迷しているが、明るい兆しも見えている。ただ、松葉貴大(7勝11敗)、高橋宏斗(6勝10敗)と規定投球回に到達した先発投手は負け越し。このチームも打線の援護が乏しい。
ライデル・マルティネスが巨人に移籍したが、育成出身の松山晋也が現時点でライデルと並ぶ41S、清水達也(29H)、藤嶋健人(22H)、齋藤綱記(16H)と救援投手陣は優秀だ。
しかし、やはり中日も打線が問題。とくに中軸打者の細川の離脱が痛かった。
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細川成也
24年 156安23本67点 率.292
25年 81安17本50点 率.251
岡林勇希が安打製造機として活躍し、ソフトバンクを戦力外になり昨年入団した上林誠知が15本塁打に加え27盗塁と上位打線をけん引している。しかし、広いバンテリンドームを本拠にするだけに、泣き所は「長打力」で、今季40試合も離脱した細川の17本塁打が最多。外国人のジェイソン・ボスラーが13本、マイケル・チェイビスが5本、オルランド・カリステは1本、クリスチャン・ロドリゲス0本と大きく期待を裏切った。
井上一樹新監督は1番に岡林を固定した以外は、打線を毎日のように組み替えたが、これ以上の飛躍のためには、レギュラーをある程度固める必要があるだろう。
投打ともに見劣りしたヤクルト
《ヤクルト》
率直に言って、シーズン前からヤクルトは戦力的に見劣りがしていた。
狭い神宮球場を本拠地とするだけに、投手力には大きな期待ができなかった。
2021、22年の連覇の時も、強力打線がチームを押し上げたのであり、投手陣で規定投球回に達したのは22年の小川泰弘だけだった。打線の中核にいたのが「令和の三冠王」村上宗隆だった。その村上が戦線離脱した。
村上宗隆
24年 122安33本86点 率.244
25年 43安19本39点 率.270
4月18日に登録抹消となり7月29日に復活。以後、出場44試合ながら猛烈に本塁打を量産しているが、3カ月以上のブランクは非常に痛かった。さらに昨年遊撃手としてフル出場した長岡秀樹、連覇を果たした頃の不動のリードオフマン塩見泰隆、村上とともに中軸を打ったドミンゴ・サンタナも長期離脱した。
もともと投手陣が期待できないなかで、打線にこれだけ穴が開いたらペナントレースは戦えなくなる。打線の穴を埋めたのは、捕手上がりで勝負強い打撃を見せる内山壮真、5年目で初の規定打席到達が見えてきた。さらに育成出身4年目の岩田幸宏も守備力と足で外野のポジションを獲得しつつある。ただ中軸の不在は深刻だった。
村上が来季メジャー挑戦と言われているだけに
投手陣は規定投球回到達者は無し。

